新しい生活様式 在宅を健康増進の好機に

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスとの闘いは続いている。九州の緊急事態宣言は解除されたが、なるべく外出を控えたり在宅勤務を求められたりする人はまだ少なくない。長期化の可能性もあり、心身の健康維持を心掛けたい。

 政府は外出や「3密」を控える「新しい生活様式」を提唱している。長引く在宅で懸念されるものに生活不活発病がある。体を動かさない暮らしを続けることで起きる疾病だ。筋肉量が落ちるため心肺機能が低下し、知的活動もおろそかになる。うつ症状が出ることもある。

 東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)の避難生活者にも症例が報告された。

 ITを使ったテレワークで、会社員の1日の歩数が平均3割減ったというデータもある。逆に食事の量が増え、間食してしまう人も少なくない。室内での適度な運動は欠かせない。

 行動範囲が狭くなると、近所まで足を運ぶことでさえ面倒に感じることがある。運動不足と心身の衰えが悪循環となることは言うまでもない。高齢者は特に注意が必要だ。周囲が心を配り適切に助言もしたい。

 在宅勤務や休業の長期化に伴い目立つのは飲酒量の増加だ。通勤時間がない分、結果として長時間飲んでしまうという。

 気付かぬうちにアルコール依存症になることを十分警戒したい。酒量を制御できなくなり、重症化すれば脳を萎縮させる怖い疾患だ。家族や職場との関係も破壊しかねない。この際、正しい知識を得て、自分の適量を知っておきたい。

 喫煙者がコロナに感染した場合、重症化するリスクが多数報告されている。たばこに含まれるタール成分が心肺機能を低下させていることなどが要因とみられる。日本呼吸器学会は感染を広げないためにも禁煙を強く訴えている。当然だろう。

 今後はむしろ、このコロナ禍を逆手に、自らの健康増進を図ってみてはどうだろう。

 緊急事態宣言を契機に、公園や河川敷でジョギングやウオーキングを始める人が増えたという。混雑する電車やバスを避けるため、自転車での通勤を推奨する企業も出てきた。いずれも持久力を養う運動となり、心筋梗塞、がん、認知症のリスク軽減が期待される。

 もとより、この十数年の間にマラソンや登山、サイクリングなどのブームが起きている。愛好者の裾野を広げ、自立した生活を続けられる健康寿命を社会全体で延ばす土台にしたい。

 屋外で運動する場合もできるだけマスクを着け、少人数で行いたい。熱中症対策も必要な季節になった。小まめな水分補給や休憩にも気を配りたい。

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