「動」のトランプ氏vs「静」のバイデン氏 重要州で対照的なアピール

 【ワシントン田中伸幸】11月の米大統領選の行方を左右する重要州で、再選を目指す共和党のトランプ大統領と、民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領の選挙運動が対照的な展開を示し始めた。トランプ氏が現地を訪れて新型コロナウイルス対応の成果を誇る一方、3月から外出自粛を続けるバイデン氏は自宅から政権の対応の不備を発信。バイデン氏の活動を消極的と見る支持者からは不満が漏れる。

 「大統領のコロナ対応の失策と写真撮影会を非難」。バイデン陣営は15日、こんな標題のメールを民主党支持者らに向け配信した。

 写真撮影会とは、14日にトランプ氏が訪問した東部ペンシルベニア州の医療機器配送センター視察。演説では「米国は世界一の検査ができるようになった」と主張し、行動制限の緩和に慎重な民主党を念頭に経済活動再開を強く訴えた。

 ただ、自身の支持者集会で使うテーマ曲を流すなど視察は事実上の選挙運動。バイデン氏は同日、声明で「民主党が外出規制で米国を停滞させ、共和党は経済を解放するという構図を演出した」などと非難した。

 ペンシルベニアは前回大統領選でトランプ氏が予想を覆して勝利し、今回も「激戦州」と目される。しかもバイデン氏は同州出身で絶対に負けられないだけに、批判のメールを連発し、対抗心をあらわにした。

 ペンシルベニアなど勝敗の鍵を握る州をトランプ氏が訪れたのは今月に入り2回目だ。一方、外出自粛を続けるバイデン氏はメディアなどを通じてトランプ氏批判を重ねながら重要州への発信強化を試みている。

 14日には別の激戦地、中西部ミシガン州の知事で、民主党の女性副大統領候補として取り沙汰されるウィットマー氏らとウェブ上で意見交換する様子を公開。民主党有力議員も重要州向けのインターネット対話集会を企画するなど、バイデン氏のアピールに躍起だ。

 だが、トランプ氏が重要州に自ら赴き、会見で「年末までにワクチンの流通を目指す」と強弁するなど日々ニュースになるのに比べ、バイデン氏の露出度は依然低い。ネット上のイベントも映像の乱れなどトラブルが目立つ。

 バイデン氏としては「自粛緩和や経済再開に必要なウイルス検査が不十分」と防疫強化を要求している以上、現地訪問には踏み切りづらい。トランプ氏の迷走ぶりを際立たせるため「今は目立たないままでいい」(民主党支持のユダヤ系男性)との意見もある。

 とはいえ、トランプ氏が攻勢を強めるのは必至。「反トランプ」の有権者からは「もっと動いて存在感を示すべきだ」(元女性高校教諭)と懸念が強まる。

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