「勉強しない」「子どもが嫌がる」親が語る家庭学習のホンネ

西日本新聞 社会面 四宮 淳平 本田 彩子 金沢 皓介

「なぜ家で」子にも戸惑い

 新型コロナウイルスの感染拡大がひとまず落ち着きつつある中、各学校は分散登校など徐々に授業を再開し始めた。最長で約3カ月に及ぶ臨時休校中、ほとんどの小中学校はオンライン授業などを行わず、プリント配布による家庭学習が中心だった。家で教師役を担ったのは保護者だが、「全く勉強しない」「親が教えると嫌がる」と悪戦苦闘を強いられた例も少なくない。いつか再び休校になる可能性に備え、家庭学習を巡る本音を探ると-。

 「うちの子、2桁の引き算のやり方も忘れてたよ」。職場で同僚の男性記者(43)がぼやいていた。

 小3の娘に、午前10時から1こま30分の勉強を3こまするように決めたが、何とか始めても15分が限界。ストップウオッチで計算の速さを測るなど、自身が小学生の時に実践した手法も試したが行き詰まりを感じている。「間違いを指摘したら不機嫌になり、その後の勉強を拒否された」。家庭学習について、似たような悩みに直面している保護者は多いはずだ。

 「いかに学習環境を学校任せにしていたか。保護者は気付いただろう」。福岡市の中学教諭の女性は本音を漏らす。学校には休校中、保護者から「子どもが言うことを聞かない」という電話もあった。「生徒指導を重ねて身に付いた学習習慣は崩れているかもしれない」とため息をつく。

 家庭学習がスムーズに進まないのは、慣れない環境が原因では、と感じている教員もいる。福岡県内の高校教諭の男性は休校中、小2の息子に漢字や計算問題をさせてきた。教師らしくポイントを押さえて解き方を教えたつもりだが、30分で解けるはずの問題に1時間かかることも。問題につまずいているのではなく、「なぜ家で勉強しないといけないの、と思っているのかも」と感じた。普段接している高校生のように理詰めで諭すわけにもいかない。自宅と教室、同じように学ばせるのはそう簡単ではない。

 一方で、長引く休校を機に家庭学習のペースをつかみ、学びを深めるケースも。同県内の中3女子は新学年の教科書も自分でどんどん進め、インターネットの学習サイトや塾の動画配信授業も活用しながら、意欲的に家で学んでいる。

 「やらなくてはいけない環境に置かれ、そうせざるを得なかった」。友人は多いし学校は嫌いではないが、自分のペースで学ぶ意義を見いだした。「中学をやめて自宅学習で高校受験に臨みたい」とまで打ち明けられた母親はこう吐露する。「第1志望が公立高で、内申点のために学校に行かせるのは(主体的に学ぶ)足かせにすら感じます」

 コロナ禍がもたらした家庭学習の増加が今、学校と家庭の役割を問い直している。 (四宮淳平、本田彩子、金沢皓介)

「やり終えたら褒めてあげて」

 早稲田大学大学院の田中博之教授(教育方法学)の話 学校では、友達がいるから自分と異なる意見を知ることができ、専門家の教師がいるから子どもの興味や関心を引きつけた授業ができる。この全てを家庭が代替するのは無理がある。関係が近いからこそ親が勉強を教え込むと子は反発し、自尊感情を失うこともある。きょうだい児や自分の子どもの頃と比べるのも良くない。学習面は提案にとどめ、子どもがやり終えたら褒めてあげるのが良い。親は伴走者となり、短所を指摘するのではなく、長所を伸ばしてほしい。

 むしろ最も大切な家庭の役割は、子どもが安心できる居場所であること。親は気負わず、宿題の後に子どもが好きな話題を取り上げたり、気分転換させたりしてはどうか。学校側も、家で楽しく学べて、学校で答え合わせするのが楽しみになるような宿題を出す。家庭と学校、それぞれの良さを生かして子どもの学びをサポートしてほしい。

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