「月9」ドラマに監修で協力 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞 医療面

連載:吃音~きつおん~リアル(22)

 ある女子高校生の話です。教諭に吃音(きつおん)があると打ち明けたところ、「あのドラマのヒロインと同じ症状でしょう? 話してくれてありがとう。配慮するよ」と言ってもらえたそうです。

 そのドラマとは2016年4月期にフジテレビ系で放送された「ラヴソング」。いわゆる「月9」ドラマです。福岡市出身のシンガーソングライター藤原さくらさんが吃音のあるヒロインを演じました。

 ヒロインが親友の結婚式でスピーチを頼まれ、自らの障害と向き合うところから物語が始まります。福山雅治さん演じる臨床心理士の主人公が、彼女の悩みに寄り添います。水野美紀さん演じる言語聴覚士も登場しました。

 こんな場面があります。うどん屋で食べたいメニューを言えず、つっかえずに言えるメニューを注文したヒロイン。気付いた主人公は「本当は何を食べたかったの?」。そして、こうアドバイスします。言葉に詰まっても、自分の伝えたいことを自分の言葉で伝える勇気を持つべきだと。

 ドラマは、吃音があっても話す勇気を持ち、必要があれば公表することで世界は変わるという新しい向き合い方を伝えます。周囲が受け入れてくれれば、当事者が自信を持って生きていけることも分かりやすく発信してくれました。

 実は、ドラマの撮影前、私は監修の一人として、プロデューサーや監督から相談を受けていました。彼らは、吃音があるオーストラリアの歌手ミーガン・ワシントンさんの「歌ではどもらない」という話に興味を抱き、ドラマ制作を思いついたそうです。

 当初、吃音を描くドラマは偏見や差別を誘発するなどタブーに触れるのではないかと心配しました。しかし、メディアを通して社会の理解を深めたいと、日本言語聴覚士協会と共に協力し、素晴らしいドラマが出来上がりました。 (九州大病院医師)

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