新型コロナウイルス対策に関連して、最近よく聞く言葉に「スピード感」がある…

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルス対策に関連して、最近よく聞く言葉に「スピード感」がある。安倍晋三首相も各種支援策について「スピード感が大切」などとしばしば使っている

▼政府だけではない。テレビに登場する識者も「スピード感を重視して」と連発。早くも流行語大賞へのノミネート確実、というほどの使用頻度だ

▼重箱の隅をつつくようで申し訳ないが、この言葉を聞くたびに違和感を覚える。「いや、大切なのは『スピード感』じゃなくて、実際の『スピード』でしょ」と突っ込みたくなるのだ

▼音楽では、現実のテンポはそれほど速くなくても、ベースやドラムの音の動きやテクニックで軽快なノリを表現することがある。この場合は「スピード感」でいい。しかしコロナ対策で求められるのは一刻も早い政策実現だ

▼皮肉な見方をすれば、安倍政権は「やってる感」を出すのが上手だ。例えば北方領土問題では、現実には交渉が全く進んでいないのだが、プーチン大統領との会談回数を実績のようにアピールしてきた。「感じ」を出していればいい、という空気が政界に広がり、メディアも乗せられて「スピード感」という言葉が多用されているのではないか

▼安倍首相が公約したマスクはまだ多くの家庭に届いていない。そうこうするうちに、街にはマスクが出回るようになった。今後届いても「いまさら」感は否めない。やっぱりスピードが足らない。

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