再開する学校 心のケアにも配慮したい

西日本新聞 オピニオン面

 異例の長期休校は子どもたちの生活や学習面に限らず、心にも複雑多様な影響を与えているはずだ。細かな心配りで良いスタートを切らせてあげたい。

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除を受け、休校していた福岡県の県立学校がきのう、段階的に再開を始めた。鹿児島県などでは先週、登校が始まっている。北九州市に続き、福岡市も近く再開する方針だ。月内には、九州7県の小中高校が新学期を迎えることになりそうだ。

 子どもの感染事例はこれまでのところ少ない。とはいえ油断はできない。学年や学級単位の分散登校でスタートし、様子を見て全面再開に移行する自治体が多い。妥当な判断だろう。

 休憩時間にできる密集を避けるなど、学校でも感染防止に向けた「新しい生活習慣」をしっかり根付かせてもらいたい。

 春休みを挟み、休校期間は最長で2カ月を大きく超える。子どもや保護者が最も気掛かりなのは学習の遅れである。

 既に多くの自治体が夏休みの大幅な短縮を決めた。加えて、授業時間を短くしてコマ数を増やし、多くの科目を学ぶ。土曜授業を実施する。家庭での予習を徹底し、効率的に授業を進める-など各自治体はさまざまな対策を打ち出している。

 カリキュラムが過密になると児童生徒の負担は大きくなる。学習の習熟には個人差がある。詰め込み授業になり、置き去りになる子どもが出ないよう十分な配慮が不可欠だ。

 文部科学省は特例として、小中高の最終学年以外は教育課程の一部を次の学年以降に持ち越すことを認める通知を出した。各自治体は生徒や教員の負担が過重にならぬように教育課程の再編も視野に入れてほしい。

 来春の高校入試について、文科省は地域の休校状況などを踏まえ、出題の範囲や内容が特定の生徒の不利にならないよう求めている。都道府県の教育委員会は現場の実情を把握し、対応を早めに示す必要があろう。

 長期休校が子どもの心に与えた影響には、特に留意したい。「イライラするようになった」「眠れない」といった子どもたちの声が聞こえている。

 以前から、夏休みや春休みといった長期休暇の終了前後は生活リズムの変化などもあり、心の揺れが大きくなりがちだ。不登校や子どもの自殺が増える時期とも重なる。

 ましてや今回、感染症対策で外出自粛を強く求められるなど例年と事情が大きく異なる長期休校明けとなる。教育現場はささいな変化も見逃さず、必要に応じて福祉や医療とも連携し、心のケアに取り組むべきだ。

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