中洲の女帝「夜の街は死なん」 “一流”を見た50年…コロナで感じた情

 全国39県で新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言は解除されたものの、繁華街がコロナ前のにぎわいを取り戻せるかは見通せない。そんな中で「夜の街は死なん」と力強く語る女性がいる。九州最大の歓楽街、福岡市・中洲で「女帝」と呼ばれ、多数の財界人や芸能人らを顧客に抱える高級クラブ「ロイヤルボックス」のママ藤堂和子さん(74)。中洲歴50年の経験から「良か人材がいて、奮起する店は生き残るったい」と博多弁で言い切る。

夜の街の文化を30年間、全国に発信

 藤堂さんは高校卒業後、自動車販売会社に就職。兄の経営する中洲のスタンドバーを義姉の出産のために手伝ったことが人生の転機になった。物おじせず率直な性格が客に受け、自身も接客業の面白さに目覚めた。そして水商売1本に。36歳でラウンジ開業、48歳で高級クラブの経営を始めた。じゃんけんの異様な強さでも有名だが、月刊誌「LB中洲通信」の編集長として約30年間、中洲の文化を全国に発信したことでも知られる。

 現在経営するのはクラブとバー、ラウンジの計4店舗。約80人の従業員を抱える。「お客様と従業員の命が大事やけん」。他のクラブに先駆けて緊急事態宣言前の4月4日から休業し、少なくとも5月末まで継続する予定。家賃など1カ月の経費は1200万円。今までの蓄えを取り崩しつつ、家賃支援や従業員への助成金など行政の支援を待つ状況だ。半世紀を過ごす中洲の現状を見て「人通りがない街はきれいすぎて寂しすぎる」と表現する。

「良か店は水面下で引き抜き合戦をやっとる」

 感染拡大防止に向け、「3密」を避ける「新しい生活様式」の継続が呼び掛けられており、接客業の世界が今後どうなるか不透明。新型コロナ禍で企業倒産も国内外で相次いでおり、水商売が一番弱い「不況」の足音も聞こえる。

 それでもオイルショック以降、バブル崩壊、リーマン・ショック、震災など数々の苦境を経験した藤堂さんは悲観しない。「昔から不況になれば、多くの飲み屋がつぶれてきた。でも、中洲も銀座もススキノもいつの間にか元通りになる」

 どんな状況でも生き残る店には特徴があったという。「すでに人を切る店もあるようだが、接客業は人材が命たい。きつか時に給料払って女性を引き留められるか。今でも、良か店は水面下で引き抜き合戦をやっとる」と明かす。

 新しい生活様式として注目される、テレビ会議アプリを使った「リモート飲み会」には懐疑的だ。「人間は会って直接話して、その相手が信用できるか、親しみが持てるか分かるの。初めて会ってネット上で良か人間関係が築ける人がおるやろか? きっと夜の街のビジネス利用は回復するし、繁華街がないと男が生き生きしないの」

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