避難所の「3密」どう防ぐ? 佐賀の大雨被災地、運営に苦慮

西日本新聞 佐賀版 梅本 邦明

食事や入浴不安、心の分断懸念も

 新型コロナウイルスへの警戒が続く中で風水害の季節が迫り、昨年8月の記録的大雨で被害に遭った佐賀県内の自治体が、災害時の避難所の感染防止策に苦慮している。地域ごとに避難先を指定したり、避難所を区分けしたりして、「3密」(密閉、密集、密接)の回避を図るが、避難を経験した被災者は、集団生活で人との接触を避ける難しさを指摘する。

 「避難所は3密そのもの。つえを突くなど体の不自由な人の世話も必要で、人との接触は避けられない」。浸水被害が相次いだ大町町の町総合福祉保健センター美郷に避難し、1カ月余り過ごした山口久人さん(66)は懸念する。

 町内のアパート1階に1人で暮らしていたが、昨夏の大雨で浸水してセンターに避難。頼れる知人はおらず、ストレスで体調を崩した。炊き出しで、休憩スペースで他の被災者と食事を取るように。「被災や復旧の状況はどうですか」。互いに情報交換し、会話は心の支えにもなった。

 だが、コロナ禍によって人との距離を取れば、被災者同士のつながりは分断される恐れがある。「一人きりで、外で食べることになるのかな」とため息をつく。

 食事以外にも不安はある。自衛隊が用意した仮設風呂には多い時で3、4人が一緒に入浴したが、「あの狭い空間で2メートル以上離れるのは無理」という。

 山口さんは今、町内のみなし仮設のアパートで暮らす。「災害のいろんなケースを想定し、町は雨の季節がくる前に避難のあり方を説明してほしい」

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 避難所でのコロナ対策について、国は4月、普段よりも可能な限り多く開設し、ホテルや旅館の活用などを求める通知を全国の自治体に出した。

 昨夏の大雨で避難所7カ所のうち主に3カ所を開放し、1日最大約400人が避難した大町町。町は7カ所全てを開ければ、400人が避難しても3密を回避できると見込み、民間施設の活用も準備する。特定の避難所に住民が集まるのを防ぐため、居住地や要支援者によって避難先を分けることにした。6月の町報や区長会で地区別の方針を伝えるという。

 ただ、災害時は想定外の事態が発生する恐れもある。ある自治体の担当者は「災害によって道路の冠水や交通の状況が異なり、どの避難所に人が集中するのかが読みづらい」と話す。

 さらに、大町町は、避難者400人の受け入れが可能だった町公民館を59区画(1区画2メートル×2メートル)に分けて間隔を取り、利用人数を制限する。高齢者の体への負担が比較的軽い和室は3部屋しかない。「避難者が多ければ、高齢者にも和室利用を我慢してもらうケースが出てくるかも」と川崎隆館長は懸念する。

 中心市街地が水に漬かった佐賀市は、公民館などの1次避難所、次に2次避難所の学校体育館-の順に原則開放したが、3密を防ぐため、災害規模や避難者数によっては、スペースの広い学校体育館を早い段階で開けることを検討しているという。 (梅本邦明)

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