温泉旅館「オフィス」に活路 佐賀・嬉野の経営者ら、コロナ後見据え

「密」避け分散化

 佐賀県嬉野市の嬉野温泉の若手旅館経営者が、新型コロナウイルスの終息を見据え、企業のサテライトオフィスを誘致する取り組みを進めている。感染拡大の影響で宿泊客が激減し、インバウンド(訪日外国人客)の回復も見通せない中、コロナ禍を契機に働き方を見直す企業のオフィス需要に活路を見いだす。

 嬉野温泉の大型旅館「和多屋別荘」の一室に10年契約で入居したのは東京のウェブ企画制作会社で、4月初旬から嬉野の支社として業務を開始。従業員は2人で、うち1人は旅館の社員寮に家賃2万円で暮らす。寮から歩いて2、3分の旅館の部屋「鴛鴦(おしどり)」で働く。

 地元採用された古賀明香さん(37)は「ミーティングもリモートで、業務はチャットでスムーズにやりとりできる。通勤や職場の過密状況を気にする必要もなく、コロナ禍でも十分に仕事ができた」と話す。

 入居料は月70万円で、4分の3は県や市が誘致企業の優遇措置として負担する。契約書には「温泉入り放題」と明記され、別払いで食事も取れる。

 和多屋別荘の小原嘉元・社長(43)は「食事や宿泊もでき、温泉にも入れる旅館は仕事にも最高の環境」と強調する。新型コロナ感染拡大前は訪日客や団体客で130室がフル稼働状態だったが、5月末まで休館中。オフィス化と個人客に絞った経営で「最大の危機」を乗り切る構えだ。東京の出版社など3~5社と交渉を進めており、年内の入居決定を目指す。

 同じ嬉野温泉の旅館大村屋は、館内でのリモートワークを勧める連泊プランを打ち出し、所有する宿泊施設へのオフィス誘致も検討する。入居企業の従業員向けに和多屋別荘の社員寮を共同利用する構想を描く。北川健太社長(35)は「コロナ後は密を避ける分散型の社会になる。入居企業に業務を発注し、嬉野で事業を進める協業ができれば相互に利益がある」と話す。

(河野潤一郎)

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