岸壁の医師たちはこう行動した ルポ・クルーズ船集団感染1カ月 長崎

西日本新聞 長崎・佐世保版 岡部 由佳里

医療現場、厳密区分け

 長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊中の「コスタ・アトランチカ」で新型コロナウイルスの集団感染が確認されて20日で1カ月。前日の19日には、停泊する岸壁の医療支援現場が初めて報道陣に公開された。現場は柵などで区分けされ、感染拡大防止に細心の注意が払われたことがうかがえた。現場の医師たちは「感染制御はうまくできている」と強調した。

 香焼工場の正門で検温や健康状態に関する申告書を提出し、マイクロバスに乗り換えて岸壁へ向かった。しばらく進むと、巨大なビルのようなクルーズ船が姿を見せた。乗員の外国籍男性1人がバルコニーに出て、何か言葉を発していたが聞こえなかった。

 発生当初、岸壁には柵が置かれ、医療関係者たちの指揮所などが置かれる安全な「グリーンゾーン」、防護服が必要な船に近い「グレーゾーン」に区分けされた。下船用のタラップや船外の診察室も、陽性者と陰性者用で分けられていた。木の板で仕切られた防護服の着脱場にも案内された。

 医療関係者らは感染確認から2日後の4月22日には岸壁に常駐。船医では対応できないコンピューター断層撮影(CT)や病院搬送が必要かどうかなど、入院した7人を含めて20人ほどを診察した。

 現場で取材に応じた厚生労働省DMAT(災害派遣医療チーム)事務局の小早川義貴医師らによると、早い段階で乗員が個室管理されたため「感染の2次爆発は起きなかった」。同月末、立て続けに3人が市内医療機関へ搬送され緊張感が漂ったが、乗員は持病のない若年層が多く、重症者は増えなかった。

 「5月初めには感染制御できており、最近の船内打ち合わせは、マスクのみの着用です」と小早川医師。

 一方の乗員たちは、感染確認から1カ月がたち、疲れやいらだちが見られるという。弁当など慣れない食事や乗員間で帰国時期に差があることが要因。ストレス緩和のため、多言語のビデオメッセージを船内上映するなど工夫もされる。

 取材に、長崎大学病院感染制御教育センターの田代将人副センター長は「乗員たちが感染拡大を防ぐ努力をし、効果はあった。県民も温かく励まして」と話した。

(岡部由佳里)

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