新型コロナの影響で、大規模な大会の中止が相次ぐ…

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナの影響で、大規模な大会の中止が相次ぐ。高校野球「夏の甲子園」も、春に続いて。晴れの舞台を目標に努力を重ねた選手、応援してきた人。残念でたまらないだろう。泉下では、この人もきっと。作曲家の古関裕而(1909~89)

▼夏の大会歌「栄冠は君に輝く」は古関の作品だ。白球に懸けた青春の輝きを高らかにうたう名曲が聞けないのは寂しい

▼古関は生涯、約5千の曲を残した。早大や慶大、東京農大などの応援歌。プロ野球の球団歌では阪神の「六甲おろし」、巨人の「闘魂こめて」など。そして1964年の東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」。戦後復興を歩む日本人への「応援歌」になった

▼「露営の歌」など戦時歌謡も手掛けた。古関は、自分の曲に送られて戦地に赴き、命を落とした人たちに対する自責の念を持ち続けたという。その思いは、被爆地と全ての戦争犠牲者にささげられた鎮魂歌「長崎の鐘」に結実していよう

▼ことしは2回目の東京五輪が開催されるはずだった。それに合わせ、古関がモデルのNHK朝の連続ドラマも始まった。だが、コロナ禍で五輪は延期、朝ドラも休止へ

▼それでも、だからこそ、頑張る人、苦しい人に「エール」を送る古関の格調高い旋律は胸に響く。悲しげな短調で始まる「長崎の鐘」は後半の「なぐさめ、はげまし…」で明るい長調に変わる。そこから希望の光が差すように。

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