「#介護もがんばる」励ましの輪を 教え子を応援、コロナ禍で危機感

西日本新聞 くらし面 三宅 大介

 みんなで「#介護もがんばる」投稿を-。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、介護職を会員制交流サイト(SNS)で応援する運動を展開しようと、介護福祉士を養成する専門学校(養成校)の教職員らが全国規模のネットワークを結成した。暮らしや仕事で感じる「誰かの頑張り」や、利用者との「ほっとする瞬間」などを投稿し合い、卒業生など現場で働く人々に対し、介護職の魅力や働きがいを再認識し、励みにしてもらうのが狙い。背景には、コロナ禍が業界のさらなる人手不足につながりかねない危機感がある。

 12日夜。立ち上げに際し、発起人が呼び掛けたオンライン会議には、賛同する養成校教員ら福岡から北海道までの有志計41人が参加。都内の養成校職員、高橋利明さんは「コロナ禍でも介護職は医療職より光が当たりにくく、そもそも周りに大変だと見られ、自らを否定的に考えがち。そんな現場の卒業生たちに尊敬や感謝の気持ちを届けられたら」と趣旨を語った。

 運動ではまず教職員側が、働く教え子たちを元気づけるメッセージを、フェイスブックやインスタグラムなどに投稿。その際、いつでも誰もがSNS上で検索できる「#」(ハッシュタグ)機能を活用できるよう、投稿の後に必ず「#介護もがんばる」と書き込んでもらう。いずれ同僚など現場の介護職も含めて双方向で書き込み合い、励ましの輪を広げていく考えだ。

 ただ介護現場は今、「職員は自身も利用者も感染させるわけにはいかないと日々、緊張しながら頑張っており、さらに頑張れとは言いにくい」(高橋さん)のが実情。この日は投稿内容のあり方についても意見交換し「介護職は利用者のお年寄りから逆に『大丈夫?』と励まされることも多い。そんなほっとする日常をあるがままに書き込んでは」「介護は誰かを応援する仕事。職種に限らず、コロナ禍で知恵を絞って仕事をしている人の頑張りも紹介していい」「介護の魅力が、技能実習生や留学生、また志す学生にも伝われば」などの声が上がった。

 投稿総数が一定の数に達すれば、その内容を紹介するオンラインのイベントも企画していく。

    ◇   ◇

 福岡市から参加した麻生医療福祉専門学校福岡校の校長代行補佐、山下和美さん(59)によると、同校は1997年に開校し、今年3月までの介護福祉科とソーシャルワーカー科の卒業生は1307人。うち7割が介護福祉職に従事している。指導歴が20年を超える山下さんは「介護は、利用者と毎日暮らす中で小さな喜びを共有できる。日々忙しく、それを外に発信するのはおっくうになることもあるけど、ささいなことでも少しずつ、投稿を続けてもらえれば、ほかの介護職も元気をもらえるのでは」。既に卒業生の一人が、デイサービスで利用者と作った野菜などの投稿を始めた。

 一方、養成校の一般学生はここ10年、全国で5割近く減ったとされる。福岡介護福祉専門学校校長の小笠原靖治さん(48)は「コロナに緊張しながら現場で働く卒業生たちの不安はそのまま、福祉業界に携わろうとしている学生たちの将来への不安を表している」と指摘。SNS運動を機に、教職員や学生、介護現場がエールを送り合い、現場での模索や悩みも率直に打ち明けることにより「『コロナと生きる』時代の新しい心構えを互いに学び、一歩踏み出せるのでは」と期待する。

 地元の養成校や介護現場が一体となって介護の魅力を伝えるプロジェクトを5年以上、主導してきた小笠原さん。今年は多くの人が一堂に会するイベントの開催は難しい状況だが、SNS運動とも連動した新たな企画を模索するという。(編集委員・三宅大介)

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