「助けてください」養育費が支払われず コロナでひとり親の生計に影

西日本新聞 くらし面 下崎 千加

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための取り組みが、ひとり親家庭の生計に影を落としている。子どもの休校で働けず収入が減ったり、休業などによる収入減で養育費が支払われなくなったり。家庭裁判所の調停延期や支払い勧告の遅れといった余波も出ている。専門家は「最も弱い立場の人にしわ寄せが強く出ている。緊急事態宣言が解除されても影響は当分続くのではないか」と対策を求めている。

 「かなり厳しい状態です。助けてください」。5月初め、福岡市の20代女性から「あなたの特命取材班」に訴えが届いた。小学生の子ども2人への虐待やDVがあった夫とは、昨年から別居。福岡家裁での調停で、夫が3人に支払う婚姻費用(住宅費や生活費)は月12万円に決まった。だが夫から「コロナの影響で払えなくなった」とメールが届き、4月分は振り込まれなかった。下の子は肺の手術をしたことがあり、万一感染すれば悪化する可能性が高い。休校もあり、月3万~4万円の事務パートに出ることが難しくなった。

 切羽詰まった女性は4月下旬、福岡家裁に電話し、夫に対して支払いを求める勧告(履行勧告)を出すようお願いした。すると職員からは「今はコロナで難しい。落ち着いてから出します」と説明があった。

 結局、家裁から履行勧告したとの通知を女性が受けたのは5月中旬。勧告に強制力はないが昨年、支払いが滞った際は、勧告してもらうとすぐ払った。期待する一方「自営業なので本当にコロナの影響をかぶっているかもしれない。このまま支払われなければ、6月には貯金が底を突く」と不安だ。

 福岡市の40代女性は、5月中旬に家裁で開かれるはずだった養育費の額を決める調停が、延期になった。10代の子どもが2人いて、自身の収入だけでは綱渡りだ。前回の調停で、支払いを拒んできた元夫が払える金額を提示してきたこともあり「今回で決着のめどが立ちそうだったのに…」。家裁から調停再開の連絡はまだない。「不要不急と判断されたのかもしれないが、私たちには命に関わる問題。感染対策をして開き続けてほしかった」

 家裁によると、緊急事態宣言に基づく福岡県の外出自粛要請に従い、業務を縮小。4月8日から一部の少年事件や児童虐待に絡んだ一時保護事件など緊急性の高いものを除き、調停などは延期した。西日本新聞の取材に対し「履行勧告など個別の事件の進行については答えられないが、適切に判断されていると考えている。5月14日に(県内で)宣言が解除されたことから、順次進行が図られていくと考えている」と回答している。

 子どもの貧困対策に取り組む認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」など3団体と研究者は14日、低収入のひとり親家庭や子どものいる住民税非課税家庭などへの現金給付を求める要望書を政府に提出した。同法人の4月初めのアンケートでは、ひとり親の54・4%が「収入が減る」「収入がなくなる」と答えたという。

 (下崎千加)

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