PCR検査「地方も態勢強化を」 北九州市で民間委託始まる 九州は数社

西日本新聞 北九州版 内田 完爾

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のためPCR検査態勢の拡充が急がれる中、北九州市では「地域ラボ」と呼ばれる地域の臨床検査会社に行政検査を一部委託する動きが始まった。現場を取材すると、検査には手間がかかり、国の緊急事態宣言が解除されたとはいえ、感染の第2波のクラスター(感染者集団)発生に備えた態勢の整備は不可欠だと感じた。ただ、地方には民間の検査会社が少ないのが実態で、病院関係者は「地方でも検査態勢を早く整えるべきだ」と指摘している。

 八幡西区の地域ラボ「キューリン」。4月、厳重に管理された検査室内で、県内の病院から集配した検体の検査が始まった。安全キャビネットなどで作業を進めるごとに手袋や容器に消毒液を吹きかける。

 「感染防止だけでなく、検体の遺伝子を壊さないために慎重な取り扱いは欠かせません」。検査責任者の村谷哲郎検査部長は話す。集配から結果まで数時間かかった。

 同社は現在、北九州市の民間委託を請け負っている。主に県内を営業エリアとしており、検査実施可能件数は1日当たり88件だ。

大半は首都圏

 厚労省によると、民間でPCR検査を行っていると報告しているのは5月中旬時点で、全国で約30社にすぎない。しかも大半は首都圏にあり、九州ではキューリンを含む、福岡、熊本、鹿児島の3県の数社という。

 日本臨床検査技師会(東京)によると、新型コロナの感染が広がる以前は、PCR検査は結核菌や肝炎などに限られ依頼件数が少ないため、地方での実施が少なかったという。同協会幹部は「一定数の検査がないと経営的に成り立たないので、大手が各地域から集めて中央で検査するケースが多い」と説明する。

輸送には手間

 北九州市では3月末に新小文字病院(門司区)で、医療スタッフら20人の集団感染が発生。PCR検査対象者は入院患者や職員など967人に達した。当時の市の検査能力は1日最大で96件。他県にも検査を依頼してしのいだが、同市の担当者は「迅速な検査には地元での検査が重要との教訓を得た」と説明する。

 佐世保中央病院(長崎県佐世保市)の丸田秀夫臨床検査技術部長は「地方からの検査依頼は、輸送の手間や時間がかかってしまう。グローバル化で感染症の脅威が高まっていることが顕在化した。今後も信頼性の高いPCR検査の必要性は変わらず、検査を地方でもできる態勢を強化するべきだ」と指摘している。 (内田完爾)

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