留学生支援に「成績上位」要件なぜ? コロナ禍「生活みんな苦しい」

西日本新聞 社会面 古川 幸太郎 坂本 信博

 新型コロナウイルスの影響で困窮する学生らに最大20万円の現金を給付する政府の支援策を巡り、外国人留学生だけ「成績上位」の要件があることに疑問の声が広がっている。ツイッター上では「#留学生全員に現金給付を」といったハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿が拡散。留学生からは「もらえるだけでありがたい」との声も聞かれるが、専門家は「コロナ禍で苦しむ学生を救う制度ではないのか」と、政府の対応を批判する。

 生活に苦しむ大学生や日本語学校生らへの現金給付は、19日に閣議決定された。対象は約43万人を想定。予算は約530億円。学費を賄うアルバイト収入が通常より月額で5割以上減ったことなどが条件だ。

 ただ、留学生については前年度の成績評価や8割以上の出席率など要件が設けられ、「成績が優秀な者」と明記された。

 福岡県内の調理系専門学校に通う台湾出身の男性(27)は「成績をどう判定するのか、一律に線引きできるのか気になる」。ベトナム人の男子大学生(22)は「生活はみんな苦しい。成績が良くない学生も助けてほしい」と訴える。

 一方、福岡市内の大学院で学ぶベトナム人の女性(24)は「貯金はほぼ生活費に回ったので、給付金がもらえたら本当に助かる」。福岡日本語学校の永田大樹校長(42)は「成績制限はあっても、(支援対象に)留学生が含まれたのは大きな前進だ」と歓迎した。

 留学生団体が実施した全国約2千人の留学生のアンケートによると、ほぼ半数が「コロナ禍でバイトがなくなった」「したくても見つからない」と回答。母国の家族からの送金が減少するか途絶えた学生も半数に上り、帰国できない留学生も少なくないという。

 成績による線引きについて、文部科学省は「日本人も要件の一つである奨学金受給に成績要件があるので、差別ではない。外国人も成績が悪いからと言って一律に対象外とはしない」と説明。萩生田光一文科相は22日の記者会見で「実情に沿って総合的に判断してもらいたい」と述べた。

 しかし、苦しくても支援の対象外となる留学生が出る可能性は残る。東京で外国にルーツを持つ子どもの学習支援に取り組むNPO法人の責任者、田中宝紀さんは「留学生は、社会のさまざまな場所で一翼を担う存在だ。彼らを『労働力』として当てにしてきた実態すらある。切り捨てるようなことはしないでほしい」と話す。 (古川幸太郎、坂本信博)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ