日本経済失速 大手企業危機にも備えを

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスによる日本経済の失速ぶりが経済統計で鮮明になった。その谷は深く、回復にはかなり長い時間がかかると覚悟すべきだ。

 今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期連続のマイナス成長だった。個人消費が冷え込み、企業の設備投資や輸出も低調だった。内需、外需ともに総崩れで、消費税増税で沈んだ昨年10~12月期の水準からさらに減少した。

 深刻なのはこれからだ。足元の4~6月期も大幅なマイナス成長が避けられない。政府の緊急事態宣言で、経済活動の自粛が全国に広がった。前期比で年率20%前後の減少と前例のない落ち込みが予想されている。

 感染拡大が収束しても、GDPが元の水準に戻るには数年はかかるとの見通しが専門家の大勢だ。戦後最大の危機である。

 感染防止策の継続で苦境に立つ中小企業や個人事業主の支援を急ぎつつ、大手や地域経済の核となる企業の経営基盤強化の方策も準備すべきだろう。

 緊急事態宣言は首都圏などを除き解除されたが、外出の自粛要請は長期に及び、暮らしや企業経営、雇用に深刻な影響が出ている。政府は実態を直視し、セーフティーネット強化に一段と取り組まねばならない。

 とりわけ、休業補償の拡充や営業自粛を強いられた店舗などへの家賃補助、アルバイトで学費や生活費を工面できなくなった学生の支援は急務だ。個人事業主を含め困っている人への目配りを欠いてはならない。

 倒産や廃業が増え始めたのも気掛かりだ。アパレル大手レナウンの経営が行き詰まるなど大企業も例外ではない。海外の大手航空会社や老舗百貨店が経営破綻した。今の状況が続けば国内も航空会社の経営が揺らぐ恐れもある。人ごとと言い切れる業界は少ないのではないか。

 従業員や取引先が多い大企業が倒産すれば、影響は広範囲に及ぶ。連鎖倒産の懸念もある。政府はコロナ禍で打撃を受けた一定の企業に、日本政策投資銀行などが資本支援する仕組みを導入する方針だ。支援対象の選定の透明性をいかに確保するかという課題もあるが、政策の方向性としては理解できる。

 上場企業の2020年3月期決算発表で次期業績予想の公表見送りが相次ぐ。社会や経済が大きく変容する可能性があり、事業環境が不透明だからだ。

 例えば、テレワークやオンライン会議など職場のデジタル化が進めば、都心の広いオフィスは必要なくなる。東京一極集中の是正にもつながる話だ。

 政府と経済界には「コロナ後」を見据えた長期的な戦略作りも忘れないでほしい。

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