コロナ禍転機 新たな美術館像模索 佐世保市の島瀬美術センター  

西日本新聞 長崎・佐世保版 竹中 謙輔

 新型コロナウイルスの感染拡大は美術館にも試練を与えている。長崎県佐世保市が運営する島瀬美術センターは約1カ月にわたり、臨時休館を余儀なくされた。再開後も以前と同じ運営には戻れない。感染対策をしながら、市民と美術や芸術との接点をどうやって維持するか。関係者の模索が続く。

 島瀬美術センターは、市の要請で3月4日から自主企画展を自粛し、4月11日から5月17日まで休館。この間に中止、延期した企画展は22件を数える。

 同じような苦境にあった全国の美術館や博物館が始めたのが「おうちミュージアム」。外出を自粛する人たちが収蔵品を自宅で鑑賞できるように、会員制交流サイト(SNS)で動画や画像を発信した。

 島瀬美術センターも他の施設を参考に、フェイスブックで考古展示室を紹介した。佐世保市の福井洞窟で見つかった旧石器時代終末期の狩猟具「細石刃(さいせきじん)」や縄文土器などを写真と文章で解説。「高校で考古学部で古墳の調査、発掘、土器の結合等をしていました、懐かしい想(おも)い出があります」と反応が書き込まれた。

 商店街やバス停がそばにあり、往来する人が多い立地条件を生かし、閉ざした玄関のガラス扉に絵画のコピーも展示した。「世界旅行」「裸婦」など4テーマごとに貼り替えたところ、足を止めて眺める人が多かったという。

 再開した18日から地元出身の画家北村綱義の作品展と「バイクのある風景写真展」を開催しているが、感染防止対策が欠かせない。間隔を空けて鑑賞するように呼び掛けるだけでなく、感染者発生に備え、訪れた人に入り口で名前と連絡先の記入を求めている。

 多種多様な企画展を打ち出し、入館者数を増やしてきたが、集客に対する考えも転換を迫られる。安田恭子館長は「たくさんの人に来てほしいが、密を避けなければいけない。ジレンマがある」と、もどかしい思いを口にする。

 休館中は職員と企画のアイデアを練り、今後の美術館のありようを考えた。

 「美術館は非日常と日常が同居する空間。作品を見て19世紀のフランスにタイムスリップできるし、子どもたちが宿題をする場所でもある。感染症対策やオンライン化への対応、職員の育成…。コロナをきっかけに5年、10年先を見据えて改革したい」

 コロナ禍がもたらした転機を前向きに捉えている。 (竹中謙輔)

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