差別や偏見恐れ…ハンセン病補償法、家族申請伸びず 厚労省推計20%

西日本新聞 一面 一瀬 圭司

施行から半年

 昨年11月に施行されたハンセン病元患者家族補償法に基づく補償金の受給申請者数が、厚生労働省が推計するハンセン病元患者の家族数(約2万4千人)の約20%にとどまっていることが分かった。元患者の家族であることを周囲に知られかねないとの不安から申請をためらう人が少なくないとみられる。法施行から半年がたち、差別と偏見の解消や制度の周知といった課題が改めて浮き彫りになっている。

 厚労省によると、今年5月8日までの申請者数は4982人。法施行日(昨年11月22日)から申請を受け付けているが、2月から伸びが鈍化している。

 補償についての相談も、法施行後の1カ月間は1971件あったが、直近の1カ月は651件にとどまり、減少傾向が鮮明になっている。

 申請件数が伸び悩む背景には、元患者の家族であることを配偶者や子どもにも明かしていない人が少なくないことがあると指摘される。申請をきっかけに周囲に真実を知られ、トラブルとなることへの不安が根強いという。

 厚労省は、ホームページや全国の国立ハンセン病療養所を通じて補償制度を周知しており、今後も「必要な方に補償金を届けられるよう周知を続ける」(難病対策課担当者)としている。ただ、差別解消に向けた取り組みは道半ばで、家族が安心して申請するための実効策が求められる。

 同法は元患者の親や子、配偶者に対して180万円、きょうだいや孫などに130万円を支給するよう定めている。補償金を受け取るには、2024年11月21日までに家族本人や代理人が郵送などで国に申請する必要がある。

 申請者の支給認定審査は順次行われており、既に認定された人は1972人。うち83人は家族関係を証明する書類が十分ではなかったが、有識者でつくる審査会が証言などを総合的に判断し認定した。これまでに申請者で不認可となった人はいないという。 (一瀬圭司)

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