2020年の現代に突然よみがえった…

西日本新聞 オピニオン面

 2020年の現代に突然よみがえった。それも今月、立て続けに。豊臣秀吉である

▼一つは京都市で初確認された「京都新城」。秀吉が生前最後に築いた城とされるが、文献史料が少ないため長く実態不明の「幻の城」だった。御所内の発掘調査で石垣や堀、金箔(きんぱく)を施した瓦などが発見された

▼次いで先日は、大阪市の大宮神社で秀吉等身大の坐像が見つかった。高さ81・9センチの寄せ木造り。全国にある約20体の木像の中で、近現代の作品を除けば最大級という。正装の束帯姿だが、表面の色彩は意図的に落とされた可能性があるそうだ

▼大宮神社は大阪城の鬼門(北東)に位置し、城を守る神社として信仰を集めた。豊臣政権を滅ぼした徳川方には、さぞ煙たい社だったろう。だから関西の人は目立たぬように「太閤はん」を守ってきたと見られている

▼因果なもので徳川政権も大坂で命運が尽きる。幕末、鳥羽伏見の戦いで薩長軍に敗れた徳川慶喜は、大坂城からひそかに脱出して船で江戸へ逃げた。取り残された幕府兵に士気が上がるはずもなく、幕府崩壊を決定付けた

▼朝鮮ばかりかインドまでの支配を夢想したという天下人、秀吉。260年余も全国の大名を支配下に置いた徳川政権。盤石に見える「1強」とて、滅び始めるとあっけない。まして世論の支持を失えば。秀吉公、政治状況危機的な現下に出現なされるとは。歴史の教訓を諭しにおいでか。

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