コロナ対策会議 議論の「見える化」進めよ

西日本新聞 オピニオン面

 感染症ウイルスは目に見えない。政府の取り組みも同じでは困る。可能な限り「見える化」し、国民の理解と協力を得ることが肝要だ。現状はどうか。

 新型コロナウイルスの封じ込めを目指す政府の諸施策は、どんな議論や判断を経て決定されているのか。その経緯がよく見えない、という声が徐々に広がっている。主要な会議がオープンにされず、詳しい議事録も公表されていないためだ。

 政府は1月に安倍晋三首相ら全閣僚でつくる対策本部を立ち上げ、2月に感染症研究者らを集めた専門家会議、3月には新型コロナ特措法に基づく基本的対処方針等諮問委員会を置いた。緊急事態宣言などの重要施策は対策本部が専門家の提言に沿って検討し、医療関係者らで構成する諮問委の了承を得て決定する-という枠組みだ。

 しかし、これら3組織の会合はいずれも冒頭など一部しか公開されず、終了後に結論と関係資料が記者会見や政府のホームページ(HP)を通じて公表される形になっている。

 議事概要はHPに掲載されているが、先週末時点で特措法制定前の3月初めまでの分にとどまり公表は大幅に遅れている。しかも内容は主な発言のみで、専門家会議については発言者の氏名が伏せられるなど、議論の詳しい流れはつかめない。

 諮問委には今月から経済学者も加わったが、どんな発言や議論があったのか。それもはっきりしない。国民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼす会合は言うまでもなく、極力公開し、詳細な議事録を速やかに公表してしかるべきだ。

 そもそも政府は、今回のコロナ対策を「歴史的緊急事態」に指定し、政策判断に関わる会議録や資料を漏れなく公文書として記録、保存することを義務付けている。現状は、その趣旨にも反するのではないか。

 政府のコロナ対策を巡ってはこれまで、首相が独断で全国の学校に臨時休校を要請して混乱を招いたり、閣僚の一部が自身の政治活動のため対策本部の会合を欠席したことが発覚したりした経緯もある。これらの反省も踏まえるべきだろう。

 基本的対処方針では、コロナ対策の記録について「自治体も国に準じた対応に努める」とされている。むろん地方でも透明性のある取り組みが必要だ。

 緊急事態宣言の対象地域は縮小されても、感染拡大の第2波が懸念されるなど闘いはなお続く。国民に密閉、密集、密接の「3密」回避が求められる中、政策決定の場が「密室化」しては、それこそ本末転倒である。

 国は現状を改め、率先して情報公開に努めるべきだ。

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