木村花さん死去、ネットの誹謗中傷に対策強化求める声相次ぐ 

西日本新聞

 女子プロレスラーの木村花さん(22)が23日に死去したことに関連し、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷への対策強化を求める声が高まっている。死因など詳細は明らかにされていないが、木村さんは出演したテレビ番組での言動を巡り、会員制交流サイト(SNS)で非難されていた。ネットでは本名を名乗らない人物からの中傷が多く、人権侵害の増加傾向が続いている。

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 木村さんは23日、「楽しく長生きしてね、ごめんね」とインスタグラムに投稿。自身のツイッターには「毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ。今までずっと私が1番私に思ってました」などと投稿していた。

 木村さんの死去が報じられると、ツイッター上では「SNS上の誹謗中傷が法に基づいて裁かれる社会を望みます」というハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿が拡散。芸能人や有識者らも含め賛同が広がっている。

 東京・世田谷一家4人殺害事件の遺族で、上智大グリーフケア研究所非常勤講師の入江杏さんも趣旨に理解を示している。事件から20年近くが経過したが、家族の個人情報がインターネット上で公開され誹謗中傷を最近まで受けていた。

 入江さんは「『SNSを見なければいい』というのは、被害者の権利を奪う行為」と指摘。言論の自由を守る必要性を強調した上で「(ハッシュタグで声を上げるのは)SNSをより良く運営する仕組みづくりのためだ」と説明する。

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 インターネットで人権侵害を受けた場合は、「プロバイダ責任制限法」に基づき、インターネット接続事業者(プロバイダー)やSNSの運営会社などに発信者の情報を開示するよう請求できる。ただ手続きに時間がかかるほか、事業者側が応じない場合は提訴する必要があるのが現状だ。

 総務省は4月、有識者研究会を設置し、情報開示手続き簡略化の議論を開始。菅義偉官房長官は5月25日の記者会見で、「議論を踏まえて適切な対応を図っていく」と述べた。

 昨年、国が救済したインターネット上の人権侵犯事件は1985件で前年より3.9%増加。2017年(2217件)に次いで2番目に多く、10年前の約3倍に増えている。プライバシー侵害と名誉毀損(きそん)事案が全体の78.7%を占める。

 インターネットでの炎上やデマの流布などに詳しい福岡市在住のITジャーナリスト篠原修司さんは「情報開示がしやすくなれば個人が法的措置を取りやすくなる。そうすれば抑制力が発生する」と期待。一方で「SNSの運営事業者は海外に本社があるため、請求そのもののハードルも高い。こうした状況の改善も必要だ」と指摘した。(押川知美、黒田加那)

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