なぜ?黒川氏「訓告」止まり 内閣の責任問題回避か

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長が訓告処分にとどまり、懲戒処分とならなかったことに対する疑問の声が高まっている。法務省の内部調査で、黒川氏が違法の疑いがある賭博行為に関わっていたことが認められたものの、6千万~7千万円程度とみられる退職金もほぼ満額支給される見通しだ。

 「さすがは上級国民。何をしても優遇されていいね」。黒川氏の辞職から3日経過した25日も、ネット上には「処分が軽すぎて不公平」との抗議の書き込みが相次いだ。

 国家公務員の処分には、法で定める免職、停職、減給、戒告の懲戒と、内規の措置である訓告、厳重注意などがある。人事院は指針で、賭博をした職員は減給または戒告、常習として賭博をした職員は停職の懲戒処分と規定。公務員の賭けマージャンを巡っては、過去に刑事事件に発展した事例もある。では、黒川氏の訓告はどうなのか。

 法務省の説明はこうだ。黒川氏がやりとりした現金は1万~2万円程度で、遊びの範囲を超えていない。「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる」場合は賭博罪に当たらないとする刑法の規定もあり、妥当な判断である-。懲戒処分だと退職金の全部、または一部を支給しないペナルティーがあるが、訓告は不支給や減額にはならない。

 自民党の石破茂元幹事長は23日、テレビ西日本の番組で「人事院の指針とは違う判断がなぜなされたのか。誰に対しても同じ処分が行われなければ公平ではない」。検察OBの郷原信郎弁護士は、短時間での調査終結を疑問視した上で「認証官である検事長を懲戒処分とする場合は、新たに閣議決定が必要となる。(訓告は)定年延長問題に続き、内閣の責任問題となることを避けたかった結果では」と指摘した。

 25日、記者会見で黒川氏の問題を問われた安倍晋三首相は、「国民の批判に対しては真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べるにとどめた。

(河合仁志)

PR

政治 アクセスランキング

PR

注目のテーマ