罪悪感と批判…「寝られなかった」 初感染のラウンジ2か月半ぶり再開

西日本新聞 大分・日田玖珠版 岩谷 瞬

都町に明かりを(上)

 あれから約2カ月半。大分市都町のビルの一角に、再び明かりがともった。

 ラウンジ「サザンクロス大分」が21日、営業を再開した。店では30代女性従業員の新型コロナウイルス感染が3月3日に判明。大分県内初の感染者だった。

 影響は甚大だった。ラウンジは同日から休業。周辺でも予約キャンセルが相次ぎ、自主休業に追い込まれる店も出た。ちまたでは、感染者や同僚の氏名、住所を特定しようとする風評被害が広がった。店もコロナの被害を受けたが、関係者は針のむしろだった。

 「しばらく夜は寝られなかった。事後処理に追われ、毎日が怒濤(どとう)のように過ぎていった」。運営会社「OMSG」の中西正志常務(57)は振り返る。

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 不特定多数を接客していることから、県と市は感染状況を把握するため店名を公表し、同僚ら計47人にPCR検査を実施。後に県外客3人の感染が判明したが、同僚らの感染はゼロ。女性の感染確認から4日後には、「店は感染拡大の場ではない」と結論づけた。

 同社は都町の飲食店に事情を説明して回った。「おまえらのせいだ」「責任を取れ」と罵声を浴びせられることも。「ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」と頭を下げ続けた。

 従業員らにも精神的負担が重くのしかかった。休業後、店を辞めた女性もいた。中西常務らは感染者を出した罪悪感や批判への恐怖を抱えながら、日々を過ごしてきた。

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 折れそうな気持ちを支えたのは、常連客から届く激励の電話や手紙だった。批判に比べ、数は少ない。それでも「待ってくれている人の存在に助けられた」(中西常務)と営業再開に向けて準備を続けてきた。

 当面は客に入店時の検温を義務づけ、入り口のドアは常に開けっぱなしに。各テーブルに客は1人までと制限する。自粛ムードは収まっておらず、客が来ない可能性もある。営業再開に対する批判も出るだろう。「営業再開はうれしさが1割、怖さが9割」と中西常務。「再びお客さまに、そして地域に認めてもらえるよう、ゼロからの再スタートだ」と静かに語った。

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 新型コロナウイルスの影響で、県内最大の歓楽街・大分市都町が苦境に立たされている。緊急事態宣言解除後も客足が戻らぬ中、手探りで前に進もうとする人々を追った。 (岩谷瞬が担当します)

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