夜の街に「にぎわいと笑顔を再び」 店主らの背中押す支援室

都町に明かりを(下)

 鋭い視線を書類に落としていた男性が少し表情を緩めた。「記載漏れや添付忘れもないし、大丈夫でしょう」。隣に座る女性もほっとした表情に変わった。

 大分市都町のアートホテル1階にある「コロナ対策支援室」。新型コロナウイルスに関する公的な支援制度の申請手続きを手助けしようと、ビルオーナーが中心となり14日に発足した。スタッフ3人が1日6~7件に対応している。

 「もう無理」「店を閉じた方が楽」。やり場のないストレスや怒りを店主からぶつけられることもあるが、支援室長の進義和さん(51)は優しく声を掛ける。「不安なのはみんな同じだから」。

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 支援室発起人の一人である不動産賃貸業、六田浩二郎さん(58)は都町にビルを2棟所有している。入居する飲食店は約80店舗。ウイルスへの懸念が広がり、軒並み自主休業に追い込まれた。

 大分市は収入が減った事業者らに賃料の8割を最大24万円(3カ月分)補助しているが、「それだけではとても足りない」との声が多い。六田さんは4月、賃料の2割を「見舞金」として各店舗に還元。今月から7月までは賃料の半額を免除している。ビルのローン返済を抱えるが、「一緒に乗り越えるためには仕方が無い」と歯を食いしばる。

 支援室開設も店側からの相談がきっかけだ。支援制度の複雑さから利用を諦めていた店主らの背中を押すため、他のビルオーナーらに呼び掛けた。活動費は、有志の出資金などでまかなう。「誰かが動かないと手遅れになる。都町から店が消えてしまっては元も子もない」。危機感が六田さんを突き動かした。

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 店の維持や営業再開に向けた動きは他にもある。県内のバーやスナックなど約70店舗でつくる県社交飲食業生活衛生同業組合は、客の連絡先の把握や定期的な消毒など感染防止のガイドラインを作成中だ。

 都町で「BAR CASK」を営む同組合の佐藤昭次郎理事長(78)は「もう一度感染者が出るとさらに客が離れ、いよいよ持たない店も出てしまう。自分たちで都町を守ろう、にぎわいや笑顔を取り戻そうという意識を、強く持ち続けたい」と力を込める。

 いまだ先行きの見えないコロナ禍。苦境にもがきながらも、前に進み出した人たちは切に願っている。

 酔客の消えた都町に、もう一度明かりを-。

  (岩谷瞬が担当しました)

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