新規感染者は1桁続きなのに…タイの非常事態、なぜ再延長?

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイ政府は26日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月末から発令中の非常事態宣言について、6月末まで1カ月間延長することを決定した。延長は2回目。活動制限を義務づける法的根拠として、プラユット首相に権限が集まる非常事態宣言が必要と判断した。最近の新規感染者数は1桁が続いており、野党などは「権力維持のために宣言を政治利用している」と批判を強めている。

 26日の新規感染者は3人で、累計3045人(死亡者57人)。新規感染者は4月下旬から1桁が続き、ゼロの日も多い。だが政府報道官は26日の記者会見で「国民の安全のため非常事態宣言の延長は必要」と強調。別の高官も「(国民の活動を)制御するのに他の法律より宣言の方が適している」と述べた。

 非常事態宣言は当初、4月末までの1カ月間だったが、5月末まで延長された。政府は宣言を再延長する一方、5月以降は飲食店内での食事提供の再開や夜間の外出禁止時間の短縮など制限を一部緩和。6月には営業再開の対象業種をさらに広げる方針だ。

 非常事態宣言下では経済活動の制限に加え「虚偽または人々を不安にさせる情報の流布」や「感染の恐れがある密集や治安悪化につながる集会」を罰則付きで禁じる規則が定められ、表現の自由が厳しく制約されている。

 2014年の軍事クーデターから6年となる今月22日、バンコクの街頭で抗議しようとした活動家2人が宣言に伴う集会規則違反容疑で逮捕された。同規則による逮捕は初めてとみられる。その1人のアヌラック氏(52)は保釈後、西日本新聞の取材に「抗議活動は小規模で感染拡大や治安悪化につながらない。現状は国民を抑圧するクーデターと同じだ」と批判した。

 最大野党のタイ貢献党も記者会見で「新規感染者は非常に少なくなっており、自由を制限する非常事態宣言は早く解除すべきだ」と主張している。

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