音声認識、時代の主流へ AIの活用で開かれる未来とは (2ページ目)

 ●AI取材の現場から 経済部 具志堅聡 「ブーム」は地場でも

 人工知能(AI)が仕事を奪う。はたまた、AIが人間の能力を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)がやってくる-。経済部で製造業やIT企業の取材を担当して今夏で丸1年。現在の「AIブーム」とも言える状況を、現場を取材して実感した。

 「お電話ありがとうございます。こちらは入居受付センターです。AIが対応します」。電話口からよどみのない男性の声が聞こえる。住所や名前、立ち会いの日時を伝えると、ガス利用開始の申し込み手続きはスムーズに完了した。

 これは大企業の事例ではない。

 AIを導入したのは、ガス販売事業などを手掛ける明治産業(福岡市)。従業員45人の中小企業だ。引っ越しシーズンで申し込みの電話が集中する繁忙期の3~4月をうまく乗り切るために、今年2月から24時間365日対応ができるAIを導入した。「繁忙期には4~5人増員していたが、増員なしで乗り切れた」と広報担当者は語る。業務の効率化につながり、残業時間も減った。7月からは自社ホームページ上の問い合わせ対応でもAIの活用を始めた。

 地場企業もAIに熱視線を送る。ふくおかフィナンシャルグループとITベンチャー「グルーヴノーツ」(同)は昨年12月、幅広い企業や人材に参加を募り、AIを活用した新事業創出などを目指す「OPEN AI LAB」を開設。福岡市で定期的に開催しているAI体験プログラムには50を超す企業・団体が参加した。学習塾「英進館」(同)が高校入試の平均点や合格ライン予想にAIを導入するといった事例も生まれた。

 既にAIとは切っても切り離せない時代に突入している。一部の仕事をAIで代替できることは紛れもない事実だ。ただ取材を通じて、偏ったイメージが先行することで脅威に感じ過ぎたり、万能な技術のように捉えたりするのは違うとも感じた。「冗談でAIに仕事を奪われると言う人もいたが、AIはいいパートナーであり、優秀な新入社員という存在」(明治産業の広報担当者)。人手不足や生産性の向上が叫ばれる中、活用しない手はない技術でもある。まずはAIを身近に感じることから始めたい。

=2018/07/29付 西日本新聞朝刊=

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