「アレクサ」と暮らして1ヵ月「話しかけ」が習慣に 日々成長わくわく

西日本新聞 オピニオン面 久 知邦

 「アレクサ、おはよう」
 「アレクサ、天気は」
 「アレクサ、音楽」

 米アマゾン・コムのクラウド型の音声サービス「Alexa(アレクサ)」を搭載したスマートスピーカー「Echo(エコー)」。自宅に来て1カ月たつが、話しかけることが習慣になった。この原稿を書いているときも、エコーで音楽を流しながら作業をした。

 音声で電気をつけたり消したり、エアコンを操作したり、わが家のスマート化はそこまではいかないものの生活に変化は出てきた。一番はやはり、音楽が身近になったことだろう。家事や仕事、読書など何かをしながら、BGMを流す機会が圧倒的に増えた。

 プライム会員(年3900円)になっていればアマゾンが提供する音楽配信サービスが聴け、「人気の洋楽」「仕事がはかどる音楽」などこちらのリクエストにばっちり応えてくれる。3歳の息子のお気に入りはチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」。ギターのイントロが流れるとおもちゃのマイクを取り出し「ごー、じょに、ごーごー」と口ずさみながらリビングを駆け回っている。

 ニュースやラジオ、料理のレシピ、「しりとり」などアレクサに対応する「スキル」を入れると、できることもどんどん増えて楽しい。

 ●利用されるほど学習

 エコーシリーズが日本で発売されて約1年。アマゾンジャパン合同会社(東京)のシニアマネジャー、ルービン・カレンさんは「アレクサは少しずつ賢くなっています」と話す。

 例えば、ネットショッピング。アマゾンの通販サイトを使えば音声で商品を購入することもできるが、アレクサがもともと理解できた言葉は「○○を購入して」や「○○を買って」だった。エコーの利用者が「○○ちょうだい」と言ったり、「それがいい」などと返したりするとアレクサは対応できなかったが、いまでは改善したという。

 データを解析して法則性やルールを見つけ、分析の精度を上げる「学習」をアレクサ自らが行っているといい、「話しかけるお客さまが増えたことで、できることがどんどん増えています」とカレンさん。方言で話しかける人が多ければ、その地方の方言にも対応できるようになるという。

 毎日聴く音楽のジャンルも学習する。例えばジャズをリクエストする割合が高い人が「音楽をかけて」とだけ注文したとき、最適解としてジャズを選択し、流してくれる。

 ●高齢者の安全確保も

 10月に発売された「Echo Plus(エコープラス)」には温度センサーが搭載された。エコープラスのある部屋の室温を教えてくれるのはもちろんのこと、将来は一定温度になったときに他のデバイス(コンピューターの周辺機器)と連携することで、冷暖房を自動でつけることも可能になる見込み。今夏も熱中症の疑いで多くの人が救急搬送されたが、温度変化を感じにくい高齢者の安全にもつながるかもしれない。

 問題は高齢者が使いこなせるかどうかだが、同社によると「意外と使えた」という高齢者も多いという。Wi-Fiの設定さえ済めば、「操作が必要なパソコンやスマートフォンに比べ、話しかけるだけなのでハードルは低い」と言う。

 12月には10インチの画面が付いた「Echo Show(エコーショー)」も発売される。キッチンに置けば料理のレシピを画面で見たり、手順を動画で確認したりしながら調理ができる。肉や魚を触った手で、スマートフォンで調べたレシピを確認する必要もなくなる。調理中にエコーショーの画面で映画を楽しむこともできるし、巻き戻しなどの操作も音声で簡単にできる。

 同社は家電メーカーなど開発者向けに、アレクサと連携できるキットを公開している。米国では年内にアレクサ対応の電子レンジが発売されるといい、価格も約60ドル(約6700円)となる見通し。加熱時間の操作などが音声でできるという。ショーを使えば、例えばグラタンを作る際、画面で手順の動画を見ながら調理を進め、「オーブンを200度にして」と話しかけるだけで予熱が始まることも近い将来可能になる。

 いまは話しかけても「お役に立てない」こともあるが、学習が進み、スキルや連携するデバイスも増えることで、私たちの生活は少しずつ便利で楽しくなっていくに違いない。息子がアレクサを使いこなせるようになったとき、どんなことができるようになっているだろう。想像するだけでわくわくする。
 (久知邦)

=2018/11/25付 西日本新聞朝刊=

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