子どもが入院中、きょうだいの居場所は?支援に奔走する母

西日本新聞 ふくおか版 米村 勇飛

 闘病のため入院している子どものきょうだいが病院の近くで生活できる場所を作ろうと、菊岡直(なお)さん(60)=北九州市小倉北区出身=が施設の立ち上げに向けた活動を始めた。菊岡さんは十数年前、入院して難病と闘う長男に3年間つきっきりで、まだ幼かった次男に寂しい思いをさせてしまったとの後悔がある。今年3月に息子が入院していた病院がある神奈川県に転居し、かつて自身が過ごした患者家族の支援施設でボランティアをしながら、子どもや親のニーズの把握などに励んでいる。

 菊岡さんの長男琢真さんは中学1年生だった2005年、血液をうまく作れなくなる指定難病「再生不良性貧血」になった。

 骨髄移植を受けるため、自宅の北九州市から神奈川県伊勢原市の東海大医学部付属病院に入院。父親は仕事のため北九州市に残り、菊岡さんと琢真さんの7歳年下の弟の満君は、闘病患者の家族用の近くの支援施設で看病しながら生活を続けた。

 移植する骨髄を菊岡さんが提供するということもあり、菊岡さんは琢真さん中心の生活。満さんにきちんと向き合ってあげられなかったという。菊岡さんは「息子(満君)からは何も言われなかったが、寂しい思いをさせてしまったと感じた。自分も精いっぱいだった」と振り返る。

 その後、菊岡さんから琢真さんへの骨髄移植は成功し、08年秋に退院。家族は北九州市に戻った。琢真さんは現在、年1回の検査通院程度で、日常生活を送っている。

 難病の子どものきょうだいの中には、多感な時期に親が看病につきっきりになり愛情を受けられなかったことが原因で、病気が治ってもきょうだい間の関係が悪くなってしまうケースもあるという。

 菊岡さんは「闘病患者のきょうだいに、寂しい思いをさせたくない」という思いから、北九州市での親族の介護や地域の役員の仕事などが一段落したのをきっかけに、きょうだいのための支援施設の立ち上げを決意。成人した琢真さんや満さんら家族も賛成し、背中を押してくれた。

 3月末に病院がある伊勢原市に単身移住。かつてお世話になった支援施設の運営ボランティアなどを行いながら、患者のきょうだいが必要なものなどを見極め、準備を進めている。

 「子どもたちが感情をさらけ出せる居場所をつくりたい」。菊岡さんは恩返しの思いも込め、夢の実現を誓っている。

(米村勇飛)

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