苦境の「うれしの茶」 コロナ禍で取引激減、値崩れ避け刈り取りも

西日本新聞 社会面 河野 潤一郎

 「うれしの茶」を生産する佐賀、長崎両県の茶農家が苦境に立たされている。新茶の販売ピーク時に新型コロナウイルスに見舞われ、イベントの中止や大口販売先の旅館の休業が相次いだことによって取引が激減。供給過剰による値崩れを避けるため、新茶に続く二番茶を生産調整のために刈り取る異例の事態に陥っている。佐賀県嬉野市は独自の生産者支援に乗り出す。

 うれしの茶発祥の地とされる嬉野市嬉野町不動山地区。JAさがみどり地区茶業部会長の三根孝一さん(63)の畑では例年、樹勢回復のために70~80アールを刈り取る「中切り」を行うが、今年は約120アールに拡大した。「コロナの影響で取引が減った。産地がつぶれずに長く続けていくにはやむを得ない」。父親から畑を受け継ぎ、栽培面積を倍増させた三根さんは表情を曇らせる。

 佐賀、長崎両県の六つの生産者部会は今月10日、二番茶の生産調整の奨励を申し合わせた。今年の新茶販売が低調な上、昨年の二番茶の在庫を抱える販売業者も多い。生産過剰になると値崩れするため、多くの農家は大切に育てた茶葉の一部を刈り取る苦渋の選択を迫られた。二番茶の生産を全てやめた農家も複数あるという。

 嬉野市は、5月末までに二番茶を中切りした生産農家に10アール当たり1万円の補助金を交付する。中切りへの補助金は初めてで、市内の50ヘクタール分を対象とする予算500万円を専決処分した。市は「福岡など県外の消費地での催事も中止になり、新茶の取扱量も少ないと聞く。二番茶の中切りで生産調整する農家を支援したい」と話す。 (河野潤一郎)

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