消えた需要、自動車下請け「どーんと底がきた」 減産や休業相次ぐ

西日本新聞 総合面 山本 諒

 新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な自動車生産・販売の急減が、一大生産基地の九州の部品メーカーにも打撃を与えている。輸出割合が高い日産自動車九州(福岡県苅田町)やトヨタ自動車九州(同県宮若市)は、4月から相次ぎ生産調整を実施。影響が長期化すれば中小企業が多い地場の下請けメーカーには死活問題となる。

 福岡県内の部品加工メーカー。5月中旬、普段は従業員30人が忙しそうに働き、約20台のプレス機がフル稼働する工場は休業し、静まりかえっていた。

 九州に工場を置く完成車メーカーの2次下請けとして、通常は各社の車種ごとに約150種類の部品を扱う。だが、新型コロナの世界的な流行で春先から九州の工場でも減産が相次ぎ、生産する部品は約30種類に急減。4月の売り上げは前年の3分の1に減少。4、5月はそれぞれ稼働計画の半分に当たる10日間ずつ休業した。

 生産する部品の6割を日産車向けが占める。日産は世界の生産能力の2割削減など大規模なリストラ策を発表。下請けメーカーにも大きな影響が及ぶことは必至だ。男性社長(53)は「今後、部品の共通化などグループで調達方針が変わることも不安要素だ」と漏らす。

 「どーんと底がきた」。福岡県内の素材加工メーカーの70代男性経営者も頭を抱える。「世界生産が同時にストップしたことで、ダメージはリーマン・ショックの時よりひどい」

 バンパーやドア周りの部品など自動車関連が売り上げの9割を占めるが、4月の生産は計画比6割にとどまった。資金繰りの悪化を見越し、金融機関から総額1億円超の融資を受けた。国の雇用調整助成金も活用し、従業員約300人の雇用は死守する考えだ。

 既に倒産する事業者も出ている。大分県中津市に九州事業所を置く部品塗装メーカーの萬松(東京)は4月下旬に破産手続きを開始。主要取引先の受注が減少していたところに新型コロナが直撃した。関係者によると、九州事業所は事業譲渡に向け交渉中という。

 車1台には約3万点の部品が必要とされ、自動車産業の裾野は広い。九州の完成車メーカーの地元調達率は65%(14年実績)。九州経済産業局によると、九州の製造業従事者の7・5%が自動車関連で、雇用を支える屋台骨だ。

 自動車のサプライチェーン(部品の調達・供給網)に詳しい九州大ビジネススクールの目代武史准教授は「需要回復まで(部品メーカーなどの)サプライヤーが耐えられない可能性がある。完成車メーカーがサプライチェーンをいかに財務面や取引面で支えられるかが大切だ」と指摘する。 (山本諒)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ