引き揚げの史実を…

西日本新聞 ふくおか都市圏版 小林 稔子

 引き揚げの史実を伝えようと活動する福岡市の市民団体「引揚げ港・博多を考える集い」に、約20年前の発足当初から参加してきた女性が今月初旬に逝去(享年90)した。1945年の終戦時に朝鮮半島に取り残された国民の一人で、15歳で引き揚げてきたという▼女性は3月末に開かれた同団体の会合に、体調が悪いなか参加されていた。その姿に活動への強い意志を感じた。取り組みの裾野は広がってきたが、長年目標としてきた展示施設の設立など道半ばのものもある。「どんなに無念か」。同じ引き揚げ者の言葉が重く響く▼私たちには時間がない-。会合の取材で、何度も耳にしてきた。女性の体験は証言集で読んでいたが、直接話を聞く機会は得られないままだった。そのことが悔やまれてならない。 (小林稔子)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ