コロナ給付金申請、日本郵便が局員調査 減収の原因虚偽なら刑事罰も

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

 かんぽ生命保険の不正販売問題で営業自粛中の郵便局員が、国の持続化給付金を申請している-。そうした疑惑が関係者の間で広まっていることを受けて、日本郵便が調査を始めた。昨年7月からの営業自粛に伴い、収入が激減した局員が多数いることが背景にある。新型コロナウイルスの影響と偽って申請したことが判明すれば、刑事罰に問われる可能性もある。

 「新型コロナとの因果関係がない事業収入減については、支給要件を満たさない。周囲のうわさに惑わされることなく、冷静に行動してください」

 同社が18日に局員向けに出した文書では不正受給が発覚した場合、中小企業庁による事情聴取や事業所への立ち入り調査がなされ、悪質なケースでは刑事告発されると警告。不正な申請をやめるようくぎを刺す。

 持続化給付金は、新型コロナの影響で収入が半減した中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支給する制度だ。会社員の立場である局員は本来支給の対象外だが、そこには給与形態上の特殊な仕組みがある。

 同社の営業担当は固定給とは別に、保険の契約件数に応じて営業手当を得ている。この営業手当に関しては個人事業主として各自で確定申告することから、新型コロナの影響を理由にした申請が可能になる。国が給付金の受け付けを開始した5月1日以降、西日本新聞には「一部の局員が新型コロナの影響と偽り、給付金を申請している」との情報が複数寄せられている。

 同社関係者は「不正申請が事実ならば、さらなる企業イメージの悪化につながりかねない」と危機感を強めており、22日には現場管理者に実際に申請した局員がいないか調査するよう指示した。持ち株会社日本郵政は取材に対し「調査の結果、制度の趣旨に照らして適切でない申請、受給が確認された場合は、申請の取り下げ、給付金の返還を勧告することとしている」とコメントした。

 ただ、減収が新型コロナと全く無関係と言い切れない側面もある。かんぽ以外のがん保険や自動車保険などは営業を継続するよう指示されており、一部の局員からは「自宅勤務となり、顧客訪問もできない。新型コロナの影響による減収は間違いなくある」との声もある。

 法政大の小黒一正教授(公共経済学)は「減収の原因が新型コロナによるものかどうかを明確に判断するのは難しい。道義的な話は別として、支給要件を満たした局員が申請すること自体に問題はない」と話す。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「給付金の趣旨に照らせば、大企業の社員が申請することは社会通念上、問題だ。日本郵便は申請をやめさせるだけでなく、社員の生活状況に応じて必要な支援をすべきだ」と指摘する。 (宮崎拓朗)

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