香港安全法制を採択 中国全人代閉幕 一国二制度危機に

西日本新聞 一面 川原田 健雄

 【北京・川原田健雄】中国の第13期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議は28日、香港に国家安全法制を導入する議案を採択し、閉幕した。香港市民や国際社会の反発は必至だが、習近平指導部は関連法を制定し、8月にも施行される見通し。中国本土と同様に政治的な活動や言論の自由が制限される可能性が高く、香港の高度な自治を保障した「一国二制度」は存続の危機に立たされる。

 全人代では有効投票のうち賛成2878票、反対1票、棄権6票の圧倒的多数で採択された。閉幕後に記者会見した李克強首相は、同法制の導入について「一国二制度をより長く持続させ、香港の繁栄と安定を守るためのものだ」と主張した。6月にも全人代常務委員会を開き、立法作業を進める。香港メディアは8月にも公布、施行されるとの見通しを伝えた。

 国家安全法制は国家分裂や政権転覆、組織的テロ活動と外国勢力の香港への干渉を処罰する内容で、昨年から続く香港の抗議活動を抑え込む狙い。中央政府の治安当局が必要に応じて香港に出先機関を設置でき、直接、香港市民を取り締まる可能性も指摘される。

 中国本土では「国家安全」の名目で政府批判の言動が取り締まりの対象となるため、危機感を強めた香港市民が抗議活動を激化させるのは必至だ。香港の国際金融センターとしての役割を担保してきた司法の独立が脅かされることへの懸念も出ている。

 トランプ米政権は対抗措置を検討しており、米中関係がさらに悪化することは避けられない。日本政府は「国際社会や香港市民が強く懸念する中で議決がなされたことを深く憂慮している」(菅義偉官房長官)と表明した。

 香港基本法(憲法に相当)は「国家安全条例」を香港政府が制定するよう求めているが、市民の反対で実現していなかった。このため習指導部は中央主導で法整備する方針に転換。今後、全人代常務委が制定した関連法を香港基本法の付属文書に加えた上で香港政府が公布、施行する。

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ