「困窮留学生全てに給付金を」 成績要件撤廃求め5団体が署名提出

西日本新聞 社会面 古川 幸太郎 坂本 信博

 新型コロナウイルスの影響で困窮する学生らに最大20万円を給付する支援策で、文部科学省が外国人留学生にだけ「成績上位」要件を設けたことを巡り、留学生らを支援する五つの団体が29日、要件の撤廃を求める約5万人分の署名を同省に提出した。記者会見した留学生たちは「差別だ。困窮している学生すべてを救ってほしい」と訴えた。

 NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」などが「支援が必要な人が排除される。困窮の度合い以外の要件を持ち出す必要はない」として提出。日本人も含め約43万人と見込まれる給付対象を拡大し、対象外となっている朝鮮大学校も対象とすることなども求めた。

 国会内で会見した移住連副代表の鈴木江理子国士舘大教授は「支援の対象枠のパイを奪い合うことは、分断につながる。留学生は将来、日本社会を支える存在になる。手を差し伸べてほしい」と強調。ネパール出身で来日7年目の大学院生ダリマ・タマンさん(23)は「元々生活はぎりぎりで苦しい。留学生は税金も保険料も払っている。成績が悪い人も救ってほしい」と訴えた。

 給付対象は約43万人が見込まれ、予算は約530億円。学費を賄うアルバイト収入が月額で5割以上減ったことなどが条件。留学生には成績評価や出席率など厳格な要件があるが、文科省は要件外でも「柔軟に対応する」としている。

 ただ関係者によると、給付金は学校ごとに支給対象者数の枠が決められている。福岡県内の日本語学校関係者は「割り当てられた人数は少なく、成績条件を満たしていても給付から漏れる学生が出る」と話している。

 福岡市内の専門学校に通うスリランカ出身の男性(25)は、学費や生活費を稼ぐため、居酒屋とコンビニエンスストアを掛け持ちしてアルバイトをしてきたが、コロナ禍で居酒屋はクビに。生活費が底をつき、5月分の家賃とガス代が支払えない状態になっている。「3月まで国民健康保険料20万円も納めないといけなかったけど、1万円しか払えていません。病院の受診ができなくなる」と不安を口にした。

 学校は福岡県の緊急事態宣言解除を受けて18日から再開した。「成績はそんなにいい方ではありませんが、授業は毎日ちゃんと出ています」。困窮学生への現金給付について尋ねると、驚いたような表情でこう返した。「そんな制度ができたんですか。学校では何の説明もありません。僕はもらえないでしょうね」
 (古川幸太郎、坂本信博)

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