沖縄県議選、コロナ下攻防に異変 自公は来援断念 知事派も結束乱れ

西日本新聞 総合面 河合 仁志 高田 佳典

 新型コロナウイルス感染拡大の余波が29日告示された沖縄県議選を揺さぶっている。政府の沖縄政策に異を唱える玉城デニー知事の政治基盤が強まるか弱まるかが焦点だが、自民党は政権幹部らの来援予定が消え、公明党も支持母体の活動自粛で候補者の絞り込みを余儀なくされた。過半数奪還を狙う自公サイドのシナリオが狂う中、玉城氏を支える革新系の県政与党内にも結束の乱れがのぞき、攻防は予断を許さない。

 29日昼、那覇市。自民県連で選挙対策を取り仕切る関係者は独りごちた。「やはり、キャンセルか」。調整していた党幹部の選挙期間中の来援を正式に断られ、業界団体を引き締める貴重な機会を失った。

 目算が狂ったのは4月に入ってからだ。感染症の脅威を前に選挙準備も「自粛ムード」に覆われ、16日に沖縄を含む全国に拡大された緊急事態宣言が追い打ちを掛けた。「選挙どころではない」。立候補予定者の足も、ぱたりと止まった。

 友党・公明党の反応はさらに敏感だった。同30日、公認予定だった4人のうち2人を取り下げると発表。県政界に衝撃が走る。直前まで互いの推薦を協議していた自民県連幹部も「夢にも思わなかった」。定数48のうち自民公認・推薦は21人。公明に無所属を加えて過半数を奪うシナリオに暗雲が漂う。

 公明の選挙戦は通常、支持母体の創価学会が全国から運動員を送り込み、大規模な集会を開いて組織を固める。「クラスター(感染者集団)が発生したら死活問題だ」。学会側は感染リスクを理由に集会を自粛するよう公明県本部に伝え、運動員の投入も見送った。公明関係者は「選挙日程の延期ができなかった時点で、自民に義理はなくなった」と声を潜める。

 「選挙って感じじゃないらしいね」。菅義偉官房長官は周辺にこう漏らし、士気が落ちる情勢にも平静を装ってきた。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設を「唯一の解決策」とする政府にとって、反対を貫く玉城氏の存在は「目の上のたんこぶ」(官邸筋)。県議選で県政与党を過半数割れに追い込み、玉城氏の手足を縛る-。菅氏は公務を理由に、たびたび沖縄を訪れ地元の政財界関係者と意見交換し、打開策を探ってきた。

 その菅氏の訪問も3月末以来、途絶えている。菅氏をよく知る関係者は「戦略の練り直しは避けられない」。政府関係者も「もはや絶頂期の菅氏ではなく、できることは限られている」と解説する。

 一方、安泰に見える玉城氏側にも、不安要素がないわけではない。側近からも「コロナ対応の悪さが目立っている」とトップとしての資質を疑う声が漏れ、県政与党内には、政府に近い地元経済界の関係者とひそかに接触を重ねる議員もいるという。

 県議選の結果、与野党が拮抗(きっこう)すれば県政運営が揺さぶられ、辺野古反対を意思表示するための政府相手の裁判闘争にも影響しかねない。29日の定例記者会見で県議選について問われた玉城氏は「私の政治姿勢や信条を理解し、ともに頑張ってくれる候補者を公務以外の時間においてしっかり応援していきたい」と語った。 (河合仁志、那覇駐在・高田佳典)

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