表情わかるフェースシールド 糸島の小学校が手作り

西日本新聞 ふくおか版 竹森 太一

授業中の感染予防に知恵

 福岡県糸島市の市立東風(はるかぜ)小は、教員が口元が隠れるマスクはせずに、自作のフェースシールドを着用して授業に臨むことにしている。「子どもたちは先生の表情から、多くのことを読み取る」。そんな現場感覚を重視した対応で、校長が試作を重ねた末に、医師が飛沫(ひまつ)拡散の防止効果を認めた独自モデルを手作りで導入。コロナ禍の学校はどうあるべきか-。試行錯誤が続く。

 「喜怒哀楽が伝わりにくいマスク着用のままでは、教師の指示は子どもには伝わらない。学級経営がいずれ行き詰まる」。石硯(いしずり)昭雄校長(56)は、新型コロナウイルスの広がりで臨時休校中だった4月上旬の段階で、こうした懸念を強めていた。

 石硯校長によると、人間は相手からの情報の大部分を動作や表情から受け取っていて、子どもはその傾向が顕著。「マスク着用だと、冗談で言っているのか、怒っているのか児童には分からない」(1年担任)という実態がある。

 そこで医療現場などで活用が進んでいた、顔全体を覆う透明のフェースシールドに着目。クリアファイルやラミネートフィルム、農業用ビニールといった材料で試作を重ね、透明度や加工のしやすさ、耐久性などを比較した。その中で、ペット樹脂製の「鉢盛りのふた」を流用したものがベストだったという。

 地元の開業医にも効果を確認。“校長特製”は通常の市販品よりも縦長で顎まで隠れ、上を向いても飛沫が前方に散らないように工夫されており、「一般的なマスクの着用と同等以上の効果がある」という評価を得た。

 教員たちは、紹介された材料と作り方を参考に、それぞれ複数個を自作。学校再開(6月1日)を前にした5月下旬の「分散登校」では、全教員31人がフェースシールドを着けて子どもたちと向き合った。

 4年生担任の平原慎太郎教諭(34)は豊かな表情で問い掛けを重ね、口ごもった児童には笑みを浮かべてフォローの言葉を継いで授業を進めた。「休校の長期化で不安を抱えている児童たちは、(先生の)表情全体が見えることで安心してコミュニケーションが取れると思う」と実感する。市内の小学校では、東風小同様のフェースシールドの導入を決めた学校もある。

 文部科学省は学校再開に際し、「3密」の徹底回避などの「新しい生活様式」を要請している。同小も児童はマスク着用。校舎に入る前の自宅での検温数値のチェック、手指洗いの徹底、1日3回の教室などの消毒に取り組む。当面、班やグループを組む対話・対面形式の授業は行わず、水泳や合唱、用具を共用する活動も見送る方針で、手探りの学校運営が続くことになる。

 石硯校長は「『先生がマスクなしで大丈夫か』という不安の声も念頭に、試作の段階で医師の意見を聞いて導入に踏み切った。コロナ対応、学習内容の組み立て直しは、現場感覚を大事にして取り組みたい」と話した。

(竹森太一)

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