<一般に日本人は清潔な国民で、たびたびからだを洗い、風通しのよい家に住み…

西日本新聞 オピニオン面

 <一般に日本人は清潔な国民で、たびたびからだを洗い、風通しのよい家に住み、街路には、不快なものは何物もおくことを許されない>

▼英国の駐日総領事オールコックが記した幕末の日本の様子だ。その清潔さは西洋にも勝っている、と。江戸の町は上水道が整備され、トイレはくみ取り式。汚物は川や海に流さず、肥料として再利用するエコタウンだった

▼当時の欧州の大都市では、し尿を下水や側溝、時には路上に垂れ流すことも。感染症がたびたび流行する温床になったとされる。世界の片隅にある島国の衛生状態にオールコックが目を丸くしたのも分かる

▼今の日本にも世界の驚きの目が。新型コロナの感染を抑え緊急事態宣言を解除できたことに、欧米メディアは「ミステリーだ」。超高齢社会、通勤ラッシュ、極めて少ない検査数、罰則なしの外出自粛や休業、鈍い政府の対応…。悪条件だらけで「大惨事目前」(英紙)とみられていたからだ

▼マスク着用やまめな手洗い。握手やハグをあまりせず、靴を脱いで家に上がる。そんな生活習慣が効果的だったとの指摘も。それ以上に「うつる」と同じくらいに「うつす」を恐れ、罰則がなくても自制できる国民性を誇りたい

▼だが、緩みは禁物だ。北九州市で感染者が急増し「第2波」の恐れが。狭い土地にひしめき合って暮らしてきた国民ならではの知恵と「お互いさま」の気持ちを、いま一度。

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