梅雨と避難所 「3密」回避に万全尽くせ

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスとの闘いが続く中、九州南部が梅雨入りしたとみられる。北部も来月5日ごろに続く見通しだ。

 ここ数年を振り返るまでもなく全国どこでも想定外、記録的な豪雨への警戒は怠れない。コロナ禍と災害の二重苦という、過去に例のない事態に直面する可能性を覚悟しておくべきだ。

 特に懸念されるのは、住民が避難を強いられた場合の避難所での「3密」(密閉、密集、密接)である。固定観念にとらわれずに知恵を絞り、回避するため万全の対策を講じたい。

 私たちは近年、梅雨時の大雨を何度も経験し、甚大な被害と犠牲の上に多くの教訓を学んできた。そうした中で、新たに提唱され始めた考え方の一つに「分散避難」がある。

 これまで避難といえば、自宅を離れ、学校の体育館や公民館に身を寄せることと考えられがちだった。だが実際の避難先は公的な場所に限らない。危険が小さいと評価できるのなら、自宅やマイカー内のほか親戚、知人宅に逃げるという発想だ。

 住民の避難がむやみに1カ所に集中すれば、それがどれほどの3密を生むか。今なら多くの人が理解できるだろう。

 かえって、避難所に向かう途中が危険な場合もあると指摘されて久しい。

 市町村が風水害で「全域(全世帯)避難」の指示を出したとしても、それは主に浸水と土砂災害の危険がある地区の全員という意味だ。自宅家屋やマンション、ビル内の2階以上に逃げる「垂直避難」は水害の場合は特に有効とされる。

 慌てずに冷静に判断することが命を守ることにつながる。

 コロナ対策で自治体は今、新しいタイプの避難所の準備を急ピッチで進めている。生活スペースで世帯ごとに一定間隔を置いたり、シートで間仕切りをしたりといった具合だ。換気も欠かせない。以前から避難所ではインフルエンザなどの感染症対策が大きな課題の一つだった。さらに工夫を重ねたい。

 他にも、観光客の減少で休業を強いられているホテルや旅館の部屋や、テレワークで生じた企業ビルの空室を臨時の避難所にすることも検討に値する。

 風水害の対策で重要なのは気象情報に基づいた早めの警戒である。地震などに比べて一定の予測が可能だ。

 自治体のハザードマップで自宅や職場の周辺にある危険箇所を再確認しよう。その上で数日分の食料や水に加え、コロナ対策のマスク、体温計、消毒液をリュックに入れておきたい。

 避難とは文字通り「難を避ける」ことだ。事前の備えが結果を大きく左右する。

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