働く人たちの転倒防止策は? 「歩く能力」測定し、予防体操を 

西日本新聞 医療面

 働く人たちの転倒によるけがが多くなっていると聞きます。職場の転倒防止策を教えてください。 (北九州市、男性)

國本衛生コンサルタント事務所代表(産業医)  國本政瑞沖さん

 おっしゃる通り、労働災害の中で転倒によるものは増えています。

 厚生労働省によると、2018年の休業4日以上の死傷者数は12万7329人で、うち「転倒」が原因の人は3万1833人(全体の25パーセント)と最多です。2位の「墜落・転落」の2万1221人(同17パーセント)を大きく引き離しています。08年の死傷者数12万9026人のうち、転倒は2万4792人(同19パーセント)。10年で7千人以上も増えたことになります。

 転倒増加の大きな原因は働く人たちの高齢化です。18年の転倒の約4割は60歳以上で、50歳以上だと7割近くになります。人口減社会では働く人たちの高齢化は一層進むでしょうから、対策は急務です。

 さらに転倒は重傷化しやすく、休業期間が1カ月以上の人が約6割を占めます。経営への影響も大きくなりがちですので、転倒防止策は働く人はもちろん、経営側にとっても必須です。

 転倒の主な原因は「滑り」「つまずき」「踏み外し」です。防止策として、まずやっていただきたいのが「4S(整理、整頓、清掃、清潔)」です。歩く場所に物を置かない、床面の汚れや凹凸をなくす-などに努めてください。

 しかし、それだけでは不十分です。高齢化などで働く人たちの「歩く能力」が低下している場合、何もない床面でも転倒することがあるからです。大半の人は能力が低下していても自覚がありません。

 そこで導入したいのが、歩く能力の測定です。あなたが経営者ならば、産業医と連携して、働く人たちの歩幅や片足立ちの継続時間を測定して標準値と比べる機会を用意し、それぞれに能力低下の度合いを自覚してもらいましょう。

 その上で、安全で簡単な転倒予防体操で能力向上に励んでもらいます。片足立ちで膝を曲げる「片足スクワット」、両足で立ってつま先とかかとを交互に上げる「つま先かかと立ち」、片足で立ち、立つ足と反対の手でそのつま先を触れる「つま先タッチ」などが効果的です。

 健康診断で血圧や血糖値などの数値を示して、生活習慣を見直してもらうのと同じことを「歩く能力」についてもするわけです。 (北九州市小倉北区)

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