感染第2波 北九州を抑止のモデルに

西日本新聞 オピニオン面

 北九州市で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。なんとしても、まん延を防ぎ、早期に収束させねばならない。

 市内は4月にいったん感染が広がったが、30日から23日連続で感染確認ゼロが続いていた。今回は5月29日に新規感染者が26人に達し、4月のピークを超えた。深刻な事態だ。

 緊急事態宣言を全国で解除した政府は北九州市の現状を感染第2波とは認定していない。それでも北橋健治市長は「真っただ中にある」との認識を示し、市民に警戒を呼び掛ける。地元としては当然のことだろう。

 現在、感染者はほぼ市内全域に広がる。感染経路不明の人がいる一方、医療機関に続いて小学校でも集団感染が発生している。過去にはあまり例がなかったことだ。全ての学校で対策の点検を急ぐ必要がある。

 市は厚生労働省のクラスター対策班の支援を得て、感染経路を調べ、濃厚接触者のPCR検査を実施している。これまで経過観察だった無症状の人にも対象を広げた。妥当な判断だ。

 結果として感染確認を増やすことになっても、感染の恐れがある人を徹底的に洗い出し、感染経路を断ち切ることが今は最も肝要だからだ。

 実際、無症状の子どもが登校していたことが分かっている。学校は病院などと異なり、出入りする人が限られる。感染が確認された場合、PCR検査対象の濃厚接触者にとどまらず、教職員と児童生徒の全員に、短時間で結果が出る抗原検査の実施を検討してはどうか。精度はPCR検査に劣るものの、子どもや保護者も安心できるはずだ。

 緊急事態宣言の解除の際、多くの識者が「今後も各地で散発的に感染が再燃し、人が集う場所で集団感染が発生するだろう」と指摘してきた。それが、なぜ、北九州市だったのか。

 軽症者の窓口となるPCR検査センターが稼働し、感染者数を押し上げたとの見方もある。これは北九州市固有の事情ではない。集団感染が起きた施設の対策の検証も含め、厚労省と市は丁寧に調査してほしい。

 医師が必要と判断したPCR検査が速やかに実施されるように政府は検査態勢を強化している。今回の再拡大の感染者には感染確認ゼロの期間に発症し、病院にかかっていた人がいる。発症から検査実施までの間に感染が広がった可能性もある。なぜこうした検査の遅延が生じたのか、検証すべき問題だ。

 感染再燃は今後、各地で発生する可能性が否定できない。それを「大きな波」にしないことが大切だ。北九州市での取り組みを成功させて「第2波抑止」のモデルを作り上げたい。

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