あの日、何を報じたか1945/6/3【戦友愛で取り戻せ交通道徳】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈広い構内には待合室からあふれてあちこちに群れ集った旅行者がしゃがんで開札を待っている。隅々には紙くずや茶碗の破片などが水にぬれて変な臭いを放っている。(中略)だが構内には昔よく見かけた「便所はあちら」という張り出しをあまり見かけなかった。破れて中身のはみ出た椅子、ちりのあふれ出たちりかご、水の出ない水道はほんのちょっとした心遣いで更生できそうなものばかりである〉

 記事によると、国鉄電車の正確で規律の正しい運行と、旅客のモラル向上を目指して運輸省(当時)は6月1日に「交通道徳高揚運動」を開始した。

 これを受けて本紙記者が2日、博多-久留米間に乗車して執筆したルポには、あまり描かれない大戦末期の駅と市民の姿が克明に描かれている。会社勤めとみられる「娘さんたち」が車内乗降口近辺で広い面積を占めて大声でしゃべっていた様子も。そして車掌は取材に、駅の秩序を保つ苦労をこう語っている。

 〈女学生はいい人ですが、同じ年頃の女の人とか男の大人はむずかしいです。女だと思ってけんかを吹きかける人さえあります〉

 そう、この車掌自身も年齢は分からないが「娘さん」だった。(福間慎一)

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