夜の街、再開手探り「ギリギリまで迷った」 フェースシールドや検温

西日本新聞 筑後版 平峰 麻由

 新型コロナウイルス感染者が急増する北九州市を除く福岡県内全域で、ナイトクラブなど接待を伴う飲食店の休業要請が解除された1日、久留米市の繁華街「文化街」でも多くのスナックなどが営業を再開した。各店は再び感染者を出さないよう、さまざまな感染防止策を施す。ただ、北九州市の「第2波」を受けて再開に慎重な店もあり、手探りの対応が続く。

 カウンターやボックスでホステスが接待するラウンジ「キサス」は、2カ月ぶりに営業を再開した。入店した客は検温とアルコール消毒、体調管理チェックシート記入が必須。迎えるホステスはマスクやフェースシールドを装着し、客同士の間隔が2メートル以上開くよう席に案内する。飛沫(ひまつ)感染を防ぐため間にアクリル板を設置することも。店内に窓がないため、扉を開けて換気扇を回し、扇風機を使って風通しをよくしている。

 ホステスがお酒を作る際は、客1人ずつに用意した専用マドラーで。コースターは使わず、グラスの水滴も使い捨ての紙ナプキンを巻いて吸い取る。系列店のラウンジ「秋月」も同様の対応だ。

 ホステスの一人は「再開できたうれしさもあるが、感染者を出すわけにはいかないという緊張感が大きい」と厳しい表情。経営者の秋月久美子さんは「再開はギリギリまで迷ったが、従業員の生活がかかっており、万全の態勢をとることで決心した」と話す。

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 一方、営業再開に慎重な店もある。1日に再開予定だったクラブ「オーベルジュクラブ」は、北九州市の状況を受け5日からに延期。この日は従業員約20人に向け研修を行った。

 知らない客は入れない、開店前に客と食事などに行く「同伴」や勤務後に客に付き合う「アフター」を禁止、見送りでエレベーターに乗るのは3人まで…。経営する古賀三貴さんは「従来のやり方はもうできない。ホステスはお客さまから言われたら断れないので、店がルールを作って守らないと」。店が入居するビルのエレベーターには、加湿するための水を噴霧する設備を自費で整えた。

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 飲食店でつくる「文化街さくら会」は5月末、感染対策を学ぶ勉強会を開いた。「グラス拭きを使い捨ての紙に変えた」など、各店の対策を発表し合い共有。今後、研修参加店にはステッカーを貼るなどして客にアピールするという。一方で「カラオケを歌う客には(飛沫を隣に飛ばさないよう)『画面だけを見て』と言う」など、客側の協力が必要な対策も上がった。

 この日、夜の文化街には、至る所から酔客の歌声や笑い声が響いていた。扉を開けている店をのぞくと、肩が触れ合うほど密集する中でカラオケを楽しむ姿や、客も従業員もマスクをしていない姿もあった。「4月中旬にクラスターを発生させてしまった。次にどこか1店舗でも感染者が出れば、文化街は終わる」と古賀さん。夜のにぎわいを途切れさせないためには、店側も客側も慎重さが必要だと感じた。 (平峰麻由)

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