3病院でクラスター、北九州の医療激震 救急受け入れ避ける動きも

 新型コロナウイルスの「第2波」で感染者が急増中の北九州市では、わずか10日の間に三つの大規模病院でクラスター(感染者集団)が発生したとみられ、地域の医療体制を揺るがしかねない状況だ。3病院は、外来の新規患者受け入れを停止するなど診療を制限。いずれの病院も「十分な感染症対策を取っている」(地元の専門医)にもかかわらず、救急搬送などをきっかけに感染者確認が相次いだことで、市内では救急患者受け入れを避ける医療機関も出始めている。

 患者と医療スタッフ計10人が感染した産業医科大病院(八幡西区)は2日、人工透析など継続的な治療が必要な患者以外の外来や入院、救急外来の全てで患者の受け入れを停止した。

 受診できなかった近くの女性(77)は「不安だ」と肩を落とした。同病院のベッド数は約680床。地域内でも特に大きな基幹病院で、通院中の60代女性は「全面的な受け入れ停止になったら困る高齢者も多い」と嘆いた。

 同じくクラスターが発生したとみられる門司区の門司メディカルセンター(約250床)、小倉北区の北九州総合病院(約360床)でも、診療は原則停止している。

 院内感染防止に取り組む医療従事者でつくるNPO法人「KRICT(北九州感染制御ティーム)」の医師によると、産業医科大病院は院内感染防止の専属部署を全国でも早い時期に立ち上げるなど体制が整っているとみられていた。それだけに、市幹部も「まさかという思い。衝撃だった」と打ち明ける。

 市によると、コロナと関係なく救急搬送された後に、ウイルス感染が判明した患者は10日間で約10人。門司メディカルセンターでは、肺炎の所見がなかった患者の容体が急変し、対応したスタッフがフェースシールドをするいとまもなかった事例があったという。医療従事者の感染は少なくとも45人に及んでいる。

 福岡県によると、5月31日時点の県内の感染症病床は約490床。このうち65床が使われており、多くが北九州市で確認された感染者の利用とみられる。無症状や軽症者が入る県内のホテルには13人が宿泊しているという。「第1波」の渦中にあった4月に比べれば病床数に余裕はあるが、救急患者も受け入れる市内の病院関係者は「今の課題はコロナ対応の病床数の空き具合ではない。救急患者の受け入れが一部に集中していることだ」と指摘する。

 「第2波」の影響で一部の医療機関で救急受け入れを拒む動きもあり、ますます特定の医療機関に集中する可能性も。この病院関係者は「救急の受け入れや疑い患者の治療を続けながら、院内感染も同時に防ぐのは相当に難しくなっている」と危機感を隠さない。 (内田完爾、竹次稔、山下航、米村勇飛)

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