学校感染どう向き合う?相次ぐ「無症状」 不安広がる

西日本新聞 一面 本田 彩子

 北九州市の小中学校で児童、生徒の新型コロナウイルスへの感染例が相次ぎ、保護者や学校現場に不安が広がっている。クラスメート同士で感染したとみられるケースも含まれる。子どもは重症化しにくいとされるが、多くの学校が本格的に授業を再開する中、どう向き合えばいいのか。

 北九州市では5月28日~6月2日、小学校3校、中学校2校で計12人の児童生徒の感染が確認された。うち8人が無症状。濃厚接触者を幅広くとらえてPCR検査しなければ、確認されなかった可能性がある。

 1日は、集団感染例が確認された学校周辺の小学校児童の約2割が、登校を自粛した。保護者の心配は尽きず、会員制交流サイト(SNS)では、一斉再休校を求める声も出ている。

 ようやく再開した学びの場だけに悩ましい。小1と小4の子どもがいる北九州市の主婦(36)は、子どもを休ませる人の気持ちもよく分かるという。その上で「感染者数を見て怖がり、『命を守るため』という言葉で教育を止めるのは違うと思う」と話す。「教育を止めることが子どもの心身に与える影響が心配。大人が大騒ぎすれば子どもに伝わり、感染者への差別にもつながるかもしれない」

 不安の声は各地で聞かれる。熊本県の40代男性教諭が勤める小学校では、保護者からの問い合わせが絶えない。実際、3人の児童が感染への不安を理由に登校を自粛しているという。教諭は、保護者の判断を尊重するとした上で「学校を休む判断をした場合は、家庭で子どもの学習を進め、感染リスクから自分を守る方法についても子どもに教えてあげてほしい」。

 福岡市の小学校の50代女性教諭は「学校も感染対策に努めているが、保護者にとって100パーセント納得いく対策にはなっていないのかもしれない」と悩む。

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 こうした状況を見据えた動きも出ている。福岡市教育委員会は1日、新型コロナウイルスに対する不安などを理由に登校を控える子どもに対し、近く学級での授業をインターネットでライブ配信する取り組みを始めると発表した。双方向型で、自宅から参加できる。再開した学校活動は維持しつつ、それぞれの子どもの事情に合わせてオンライン授業も併用する考え方だ。

 熊本市教委は既に休校中に、市内全ての小中学校で双方向型のオンライン授業を実施済み。「今後、感染拡大で登校を自粛する動きが広がっても個別に対応することは可能」という。

 感染の第2波、第3波の到来は十分ありえる。子どもの健康と学びの確保をどう考えればいいか。

 大阪大の朝野(ともの)和典教授(感染制御学)は「常に感染者が近くにいるものとして、うつらないようにしていくのが新しい生活様式。ゼロリスクを求めるのではなく、感染しないために何をすべきかを考えるべきだ」と言う。

 北九州市の学校での感染拡大については、子ども同士のどのような行為が感染につながった可能性があるのか、明らかにすることが大切だと指摘する。「感染原因の情報がないことが不安や恐怖へつながっている。マスクを外して友達と話したか、手をつないだか、どんな遊び方をしたのか-。プライバシーに配慮しながら感染した子どもからしっかり聞き取り、あらゆる感染の可能性を調べて共有し、予防策を考えていくべきだ」と話した。 (本田彩子)

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