「攻撃は最大の防御なり」は、古代中国の軍略家・孫子の兵法が出典ともいわれる…

西日本新聞 オピニオン面

 「攻撃は最大の防御なり」は、古代中国の軍略家・孫子の兵法が出典ともいわれる。ゴール前でガンガン攻め続けるサッカーの試合などを思い浮かべれば、うなずける

▼ただし、孫子の趣旨はちょっと違う。兵法書には<勝つべからざるは守なり、勝つべきは攻なり>。勝てないときは守り、勝てそうなら攻める。守りが基本で、好機が来れば攻めに転じる、ということだ

▼守れないから攻めるしかない-は「トランプの兵法」。トランプ米大統領が中国や世界保健機関(WHO)をガンガン攻めている。中国に対し、新型コロナの世界的感染を引き起こしたと糾弾し、香港の「一国二制度」をほごにしたと制裁措置を表明。WHOは「中国のかいらい」と決め付け、脱退を宣言した

▼米国は新型コロナの感染者、死者ともに世界最多だ。トランプ氏は当初、コロナ禍を甘く見たような発言を重ね、米政府の対応も出遅れた。感染拡大と、それに伴う経済悪化の責任を追及されれば、11月の大統領選も危うくなる

▼内を守れないならば、外に敵を仕立てて攻撃し、国民の目をそらす戦略のようだ。もちろん、中国やWHOにも批判されるべき点はある。それでも、今は世界が団結してコロナと闘うべき時であろう

▼孫子は百戦百勝より戦わずに勝つ方が上だと説いた。トランプ氏にも聞かせたいが、中国嫌いの彼なら「フェイク(うそ)兵法だ」とツイートするか。

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