6月は「議会見てます」 前田隆夫

西日本新聞 オピニオン面 前田 隆夫

 「国会中継見てます」

 と、女優の小泉今日子さんがツイートした5月15日、衆院のネット中継にアクセスが殺到して見づらくなった。検察庁法改正案が内閣委員会で審議された日だ。

 あまたの目が質問する人、答弁する人に向けられる。画面の端に時々映る議員の態度も見ている。きっかけは何であれ、主権者の視線は政治に緊張感をもたらす。

 国会だけでなく、地方議会にも注目してほしい。コロナ禍に対し、積極的に機能を発揮する議会と、動きが鈍い議会に二極化しているからだ。

 新型コロナウイルスの感染が急拡大した3月。議案審査の日程を短縮し、一般質問を中止する議会が相次いだ。ウイルス対策に忙殺される首長や職員への配慮ではあるが、過度な活動自粛は「議会は不要不急か」とやゆされた。その余韻はまだ残っている。

 緊急事態宣言が解除されて迎える6月の定例会に、議会はどう臨むか。やるべきことは、はっきりしている。

 首長が打ち出す生活や経済の支援策が、最善かどうかを点検する。行政の手が届いていない課題を見つけ、議案審査や採決に反映させる。コロナ対策の機動性が問われるのは行政ばかりではない。

 いくつかの議会の状況を聞くと、もう差がついている。

 ちょうど衆院のネット中継が支障を来した日、九州内外の議員とのビデオ会議に参加した。コロナ対策で首長に提言をした議会もあれば、議会としてまとまった動きが取れないと嘆く議員もいた。ここでも二極化を実感した。

 「今こそ議会の役割を再確認する時。住民の声をすくい上げ、調整して、提案する。自粛ばかりでは本来の機能が発揮できない」。会議を総括した山梨学院大の江藤俊昭教授は、議員に奮起を促した。

 6月定例会へ布石を打った議会もある。

 北海道栗山町議会の5月臨時会では、議員が予算の組み替えを町長に提案した。タクシーの営業時間短縮が住民の通院に与える影響など、コロナ禍がもたらす課題を挙げ、コロナで中止になる事業もあると指摘。何度かのやりとりの末、町長から「6月に向け事業の優先度の見直しについて考え方を示す」との答弁を引き出した。

 たまたま北海道の事例を耳にしたが、九州でもこんな論戦があれば、著名人がツイートしなくても「○○議会見てます」と市井の話題になるかもしれない。

 地方議会もネット中継が増えた。議会を動かすのは住民。身近なやりとりを見てみませんか。 (佐世保支局長)

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