内閣支持率下落 謙虚に「国民の声」を聞け

西日本新聞 オピニオン面

 「なぜだ」と首をかしげる数字ではあるまい。心当たりはあるはずだ。国民の声に耳を傾けているか。安倍晋三政権は謙虚に受け止めるべきである。

 共同通信社の世論調査(5月29~31日実施)で、安倍内閣の支持率が前回調査より2・3ポイント減って39・4%となった。

 支持率が4割を割り込むのは加計学園問題などで政権が批判にさらされていた2018年5月以来、2年ぶりという。不支持率は前回比2・5ポイント増の45・5%で、政権にとって逆風は一段と強まったと言えよう。

 支持率低下の大きな理由は、新型コロナウイルス対策に関する国民の不満だろう。一時は全国に拡大された政府の緊急事態宣言は5月25日に全面解除されたが、景気や雇用、暮らしに深刻な影響が出ており、今後も予断を許さない。北九州市のように、沈静化したと思ったら再び感染者が増加傾向をたどる「第2波」への警戒も怠れない。

 そうした中で政府の対応は後手に回った。政府、与党の迷走も露呈した。第1次補正予算の目玉で「減収世帯に限定して30万円」から「国民一律10万円」へ転換した現金給付は、その典型だ。しかも、オンライン手続きが滞って役所に行列ができるなど政府が掲げる「スピード優先」も掛け声倒れとなった。

 一連の政府対応について過半数の52・5%が「評価しない」と答え、10万円給付や家賃補助など支援のスピードについて「遅いと思う」人が81・2%に上ったのは当然だろう。

 大きな理由はもう一つある。辞職した黒川弘務前東京高検検事長を巡る問題だ。政府が従来の法解釈を変更し、前代未聞の閣議決定をしてまで定年延長した人物が賭けマージャンで職を追われる-。そんなまさかの展開に多くの国民はあきれた。

 さらに検察ナンバー2の幹部が刑法犯に問われかねない問題を引き起こしたのに、懲戒処分ではなく、訓告という軽い処分だった。黒川氏の訓告処分について「甘い」という回答が78・5%に及んだのは、国民の怒りの表れである。首相はこれから目を背けてはならない。

 首相は「任命責任は私にある」とはっきり認めている。そうであるならば、一連の問題の端緒となった黒川氏の定年を延長した閣議決定を撤回し、検察幹部の定年延長を内閣の一存で可能にする検察庁法改正案の特例措置を削除すべきだ。

 コロナ対策で政府は過去最大となる総額約32兆円の第2次補正予算案を閣議決定した。何が「目詰まり」を引き起こしたのか。1次補正の反省と教訓を踏まえ、支援の手が速やかに届くよう万全を期してもらいたい。

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