「3密」避ける避難所の運営術 人の振り分けにポイント

西日本新聞 くらし面 長谷川 彰

福岡市の第一薬科大が実地訓練

 新型コロナウイルスの感染連鎖が終息しない中で梅雨期を迎えた。豪雨や大地震時に避難所に身を寄せようにも、感染症対策が気になるところだ。全国の自治体は国や県の指針を踏まえ運営マニュアルの見直しを進めている。福岡市と災害時の協力協定を結んでいる都築学園の第一薬科大(同市南区)は、一足先に見直しを終えて運営の実地訓練を行った。課題も含め報告する。

 訓練は5月26日、協定に基づき市の指定避難所となっている体育館などで行われた。想定は、市の要請がなくても自主的に開設する「市内で震度6弱以上の地震発生」。感染症対策を徹底しながら市民を受け入れる手順を確認した。

 まず、体育館の玄関前受付で風邪などの症状の有無を点検し、体温も測る。37・5度未満なら館内に案内。自覚症状があったり、体温がそれ以上だったりすれば一時療養所となる新館に誘導する=写真(1)

 体調に問題がない人は体育館内の居住スペース=写真(2)=へ。健康相談カウンター=写真(3)=も置くという。

 一方、感染が疑われる人には、新館の受付で再び検温。パルスオキシメーターで心肺の機能が落ちていないか確認=写真(4)、自覚症状や病歴などの質問票に記入してもらう。

 一時療養所内はパーティションで区切られ、他者との接触を制限=写真(5)。ここで保健所や医療機関などの指示を待つ。

   ◇   ◇

 訓練を統括した避難所運営活動班の総務班副班長、大渡勝史助手は「初めてだったので、避難者を感染疑いの有無で、適切に振り分けられるかどうかに重点を置いた」と説明した。

 実際には、受付は複数用意して、人の列が詰まらないよう案内を工夫する。居住スペース同士の間隔を広くとったため、協定当初想定の600人受け入れは難しく、学内にある他の体育館も利用する予定という。

 居住スペースは、今回は板張りにシート敷きの設定だった。段ボールを用いた間仕切りやベッドは、避難所生活の質向上だけでなく、感染症対策にも有効だ。早い段階からの活用が望ましいが「大量備蓄には湿気対策なども必要で、どうするか検討中」という。

 運営マニュアルは、福岡市の防災担当部署にも相談して見直したといい、要点は押さえられていると感じた。まず実地訓練を行った積極性も頼もしい。ただ実際は想定外のことも起こり得る。最初の受付も暴風雨の中なら屋内で行う必要がある。

 避難所の問題に関し、本紙で寄稿「後悔しない備え」を連載している、九州大の杉本めぐみ准教授は「市民の側も、状況に応じ自宅にとどまる、親戚や知人宅を頼る、ホテル宿泊など、避難所に行かない避難の選択肢を複数準備しておく必要がある」と指摘する。やむを得ぬ車中泊のあり方などについても、今後、掘り下げて報告したい。

 (特別編集委員・長谷川彰)

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