ビュッフェから注文制へ 障害者の雇用を守るレストランの挑戦

西日本新聞 ふくおか都市圏版 小林 稔子

 障害者の働く場を守ろうと、福岡市博多区にあるレストラン「リタの農園」で新たな挑戦が始まった。障害者の就労支援事業所でもある同店は、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、客が料理を取りに行く従来のビュッフェ形式での営業再開に苦悩。一時は閉店する話も出たが、注文制の食べ放題に変えることで、1日に営業の再開に踏み切った。

 「いらっしゃいませ!」。同日、約1カ月半ぶりに客を迎え入れた店内では、スタッフの明るく元気な声が響いた。客が席に着くと、冷製スープや野菜のにぎりずしなど鮮やかな野菜料理が並べられたワゴンが回ってきた。お気に入りを選べ、別に注文すればできたてが席まで届く。ローストビーフを目の前で切るサービスもあり、客からは「ぜいたくな気分」と反応も上々だ。

 同店では、知的障害や精神障害のある18歳~50歳代までの計30人が、調理場での補助や接客を担当している。4月1日には新入社員3人が新しく仲間に加わったが、コロナの緊急事態宣言を受けて同月10日に休業に入っていた。

 同店は障害のあるスタッフが自分のペースで料理を作れるようにとビュッフェ形式を採用。谷水利行社長(58)は「コロナ禍では、やり方を根本的に変えないと客の不安を払拭(ふっしょく)できない」と考えた。再開の有無も迷ったが、障害者雇用の少なさや、仕事の楽しさを知ったスタッフの「活躍の機会を奪いたくない」と、料理の提供体制を一から見直し、再開にこぎ着けた。

 新入社員の稲吉愛さん(18)は「やる気がそがれてしまうのが心配だった」と休業中の胸中を吐露。心身に影響が出るスタッフもおり、調理場担当の宮本陽さん(32)も「暗い気持ちになった」。それでも毎日上司から電話をもらい、ふさぎ込まずに「待望の再開の日」を迎えることができたという。谷水社長は「新しいやり方をきちんと確立できれば」と前を向く。

 営業時間は当面の間、午前11時半~午後3時。リタの農園=092(282)0288。

(小林稔子)

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