バイデン氏、大統領批判加速 非難の応酬に市民失望も 米大統領選

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】米大統領選で野党民主党の候補指名を確実にしたバイデン前副大統領が、白人警官による黒人暴行死事件を受け、トランプ大統領批判を加速させた。一部が暴徒化した抗議デモへの軍投入に言及したトランプ氏に対し「私は憎悪の炎をあおらない」と非難。強権発動ではなく融和こそ必要だと説いた。だが、対決姿勢を強めればトランプ氏側も猛反発し、対立が一層深まる負の連鎖は避けられない。市民からは「融和など口だけで、どっちもどっちだ」と厳しい指摘も上がる。

 2日、東部ペンシルベニア州で演説したバイデン氏は、トランプ氏を「自己陶酔主義」などと断じる個人攻撃を展開。新型コロナウイルスの感染拡大で2カ月以上余儀なくされた外出自粛を解禁し、自宅がある東部デラウェア州を離れたのはこの日が初めてとあって、言葉には熱がこもった。

 デモ拡大に「法と秩序の大統領」と称して強制排除も辞さないトランプ氏。強いリーダー像を軍関係者などの支持層に示そうとする姿勢を、バイデン氏は「米国は国民に向かって軍隊を投入する国ではない」と痛烈に批判した。一方「この国は団結をかなえる指導者を切望している。(大統領になれば)人種間の傷を癒やす道を探る」と強調。5カ月後の選挙で支持が欠かせない黒人層に寄り添う姿勢のアピールも忘れなかった。

 しかし、トランプ氏を新型コロナと同等の「恐ろしい敵」とまで言い切ったバイデン氏に対し、トランプ氏は早速「答えを持っているふりをしているが、常に弱腰だ」とツイッターで反撃。保守派の論客らからも「暴動で被害を受けた市民の思いが分かっていない」などと反論が相次いで上がった。

 白人警官による黒人市民への暴行という積年の課題に対処する議論はそっちのけで、双方が支持層を強く意識しながら繰り広げる非難の応酬に、有権者は厳しい視線を注ぐ。

 前回2016年の大統領選でトランプ氏と、民主党候補だったクリントン元国務長官のいずれにも共感できず、主要政党以外の候補に投票した南部州の男性(34)は、選挙の行方を大きく左右するとされる無党派層。トランプ氏が1日、デモ隊が排除されたホワイトハウス近くの教会を徒歩で訪れ、聖書を掲げた行為を「支持者向けの子供じみた愚行」と断じると同時に、バイデン氏にも「融和と言いながら結局『反トランプ』が喜ぶような激しい批判ばかり。次元が低すぎる」と失望を隠さなかった。

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